韓国貿易協会のチェ・ヒョンジョン研究委員は「米国の最終目標は中国製洗濯機をけん制することだ」と話した。つまり、米国は韓国製洗濯機の訴訟で勝訴した上で、中国製洗濯機を提訴する構えであり、そのシナリオを貫徹するために張委員の「落馬」を願っているとの見方だ。昨年の韓国製洗濯機の対米輸出額は5400万ドルだが、中国製洗濯機の輸出額は10億ドルに達する。
今後上訴機関は中国がWTO内部で「市場経済国」の資格を備えているかどうかを判断することになるが、米国は事前に自国に有利な委員を送り込む意図もあるとみられる。市場経済国として認めることは、該当国が政府の干渉から脱し、市場経済体制を備えていることを貿易相手国が認めることを意味する。
中国が市場経済国としての地位を認められれば、米国や欧州連合(EU)が適用する反ダンピング措置に対抗する手段を持つことになる。
中国は2001年、WTOに加盟した当時の条件に従い、加盟15周年を迎える今年12月に自動的に市場経済国の地位が与えられるべきだとの立場だが、米国とEUなどは関連条文があいまいだとして、上訴機関の決定に委ねるべきだと主張している。
■米国の対中貿易赤字、拡大の一途
米国と中国の通商紛争は今年に入ってますます過熱している。5月現在で米国による反ダンピング提訴件数は9件であり、昨年の通年(6件)を上回った。反ダンピング関税の適用も相次いでいる。米商務省は先月、中国製冷延鋼板に過去最高となる522%の関税を適用したのに続き、中国製耐腐食鋼にも451%の関税を適用した。
通商紛争の背景にあるのは、米国の対中貿易赤字だ。昨年の対中貿易赤字は3657億ドルで、貿易赤字全体(7360億ドル)の約半分を占めた。米中対立は韓国企業にも飛び火している。昨年12月、米ワールプールは米商務省と国際貿易委員会(ITC)にサムスン、LGが中国で生産し、米国で販売している洗濯機に反ダンピング関税をかけることを要求した。タイヤと鉄鋼でも米国とのダンピング紛争に巻き込まれた。仁荷大の鄭仁教(チョン・インギョ)教授は「米中が対立している分野はさまざまで、官庁別に対策を立てるのではなく、政府全体で総合的な対策を検討すべきだ」と指摘した。