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 米国務省が2日発表したテロ年次報告書によると、昨年、テロで犠牲になった人は世界で2万1404人だった。前年より約5千人減ったとみられるが、過激派組織「イスラム国」(IS)が依然として大きな脅威になっている。

 報告書によると、92カ国で計1万1774件のテロが起きた。テロの実行犯を含む死者は2万8328人で、前年より約14%減った。死者の約74%がイラク、アフガニスタン、ナイジェリア、シリア、パキスタンの5カ国に集中している。

 一方、報告書はISについて「依然として世界的に最大の脅威」と指摘。ISによるテロで、実行犯を含む6050人が死亡した。また、支配領域で「(ISが)女性や子供に値札を付けて売る『市場』を作った」と非難。奴隷にされ、虐待されているとした。

 ISによるシリアやイラクでの支配領域は2015年春に最大に達したが、同年5月以降は「戦闘で目立った勝利はない」と指摘。同年の年初と比較してISは1年間で40%の支配領域を失ったという。ISの後退に関し、米主導の有志連合による空爆作戦の成果を強調した。

 ただ、シリアやイラクで支配領域を減らす一方、リビアで勢力を伸ばしたと警戒。リビアでの戦闘員を約5千人と推定した。(ワシントン=杉山正)

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