はじめに
つい言っておきたくてブクマしてしまいました・・・
タイトル通りです.新卒フリーランスがキャンピングカー生活を始めた模様.
彼はこう書いています.
東京で住めば引っ越しするだけでも50万以上のお金がかかります。
バカだ。
バカでしょ。
住む場所は金銭的な要因もからんで、思っている以上に人間を縛ります。
毎日同じ場所に帰るなんて非効率すぎる。
それよりも行きたい場所に行って、そのままそこに泊まれるようにすればいいじゃないですか。
キャンピングカーがあれば、車を停めたその場所が家なのです。
しかしながら,彼はキャンピングカーを停めても良い場所を知っているのでしょうか?
適当に停めたところで生活することが,地元住民の生活インフラへのただ乗り行為に他ならないことを知っているのでしょうか?
車を停めたその場所は決して家ではないのです.
コインパーキングで有名なタイムズの利用約款には,車中泊禁止とは明記されていないものの,通常の最大利用時間は48時間とのことです.
公共の駐車場も基本的にアウトです.
草津温泉では,以前は駐車場での車中泊を容認していたようですが,駐車場は基本的にテントや車中泊をする場所ではないというのが管理会社の主張とのことです(車中泊でクルマ旅 ブログ 草津温泉に近い無料の天狗山第一駐車場<無料記事>).
日本RV協会ではこう呼びかけています.
(出典,:キャンピングカーマナー厳守への呼びかけ|一般社団法人日本RV協会,なお,以下の出典も同じです)
スマホだと字が小さいので読めないと思いますので,以下に厳守マナー10ヵ条から,生活インフラに関わる5点を紹介します.どれもこれも当たり前のことです.
公共駐車場に居座らない
道の駅やSA・PA等公共の駐車場での長期滞在はお断りです.キャンピングカーに居座られたら,他の車がそのスペースを利用できません.駅で買い物するからいいじゃない?それは注文すればファミレスに24時間滞在してもいいんじゃない?というのと同じくらい稚拙な考えです.仮に,コンビニの駐車場に1人乗りキャンピングカー1台が24時間居座るのと,1人乗りの乗用車が休息のため平均1時間そこに滞在して次々回転するのでは,どちらが店側として望ましいでしょうか?
コンビニバイトの経験からは,駐車場に長時間居座られるよりも,駐車客が回転して客数が増えるほうが売り上げに貢献します.ファミレスで24時間一つのテーブルを占領して1日3食分を一人の客から注文されるより,そのテーブルでお客さんがどんどん回転したほうが良いのと同じです.
盗電しない
盗電はやめましょう.窃盗罪です.
もしかしたらキャンピングカーにソーラーパネル・バッテリー・インバーターを持ち込めばノートPCやスマホくらいの充電なら可能なので盗電はしないかもしれません.
ゴミは家まで持ち帰る
ゴミ処理にもお金がかかります.タダじゃありません.事業系一般廃棄物を処理する場合,有料のシールを貼らなければならない自治体もあれば,専門業者に委託する自治体もありま す.家庭ゴミでも,有料のゴミ袋を使用しなければならない自治体や,個数が定量を超過したら有料になる自治体もあります.
人間が生活すればゴミが出ます.キャンピングカー生活で出たゴミは持ち帰って家で各自治体のルールに則って処理しましょう.
そのへんで下水処理しない
生活排水の処理と飲料水の確保だって,普通に生活していれば水道料金を支払って利用しています.
キャンピングカー生活なら公衆トイレですませれば大丈夫だって?税金へのフリーライドはやめてください.
公衆トイレの維持管理費は各地方自治体が負担しています.一例ですが,大阪市が平成21年に公衆トイレ1つ当たりに支出した維持管理コストは146万6千円でした(http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/cmsfiles/contents/0000085/85875/1-5.pdf). つまりは住民の税金も投入されているわけです.
ちなみに,大阪市の平成24年一般財源合計8,071億円のうち,市税(個人市民税・法人市民税・固定資産 税・都市計画税・その他の税)は6,066億円と75.1%を占めています.ざっくり公衆トイレの維持管理費用に当てはめれば約110万円は市税から投入されていることになります(年度が違うのでざっくりしすぎですが).
コンビニやその他事業所のトイレの水道料金(上水道・下水道両方)は事業所が負担しています.タダじゃありません.
生活インフラにただ乗りするな
電気,ゴミ処理,上下水道は,ふつうに家に住んでいれば欠かせない生活インフラで.料金は住人が負担しています.
キャンピングカー生活でそれらの生活インフラにただ乗りすることは,地域住民が生活インフラに支払っているコストを搾取することにつながります.だからこれらの行為がマナー違反・厳禁であると日本RV協会が明記しているのでしょう.
旅行するとき,たいていの人は宿を手配します.あるいはキャンプ場を利用します.そして,料金を支払います.それは,サービスを受けるのと同時に,生活インフラにフリーライドしないことを意味します.
日本RV協会は,キャンピングカー利用者が「宿泊」できる場所としてキャンピングカー利用可のキャンプ場,RVパーク,湯YOUパークを奨めています(キャンピングカーマナー厳守への呼びかけ|一般社団法人日本RV協会).
裏返せば,原則としてそれらの場所以外でのキャンピングカー宿泊は生活インフラにただ乗りすることだからやめろ,と暗に言っているのです.
ただ乗りを許可してくれる知り合いの家の駐車場で宿泊させてもらえて,隣近所に迷惑がかからないなら問題ないかもしれません.
しかし,「キャンピングカーがあれば、車を停めたその場所が家なのです。」という八木さんの言葉はキャンピングカーオーナーが守るべきマナーをぜんぜん認識していないのではないかと疑念を持たざるを得ません.
日本においてキャンピングカーで宿泊できるのは,生活インフラにただ乗りしないですむ,ごく限られた場所しかないのです.
八木さんには,ぜひとも盗電,ゴミや生活排水の不法投棄など,生活インフラにただ乗りせず,マナーを守りながらキャンピングカー生活を満喫してほしいものです.
このエントリーは以前書いたものの焼き直しです.書き足りなかったところを補足しました.
ではまた!