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 江戸期の俳人松尾芭蕉の俳句や書簡など16点の自筆資料が新たに見つかった。俳諧俳句関連のコレクションで知られる柿衞(かきもり)文庫(兵庫県伊丹市)が2日、発表した。旅の途中に連句に親しむ様子や、中国の思想家荘子への傾倒ぶりがうかがえ、芭蕉の幅広い交友関係を示す貴重な資料だ。

 資料のほとんどは関西在住の個人の所蔵品で、柿衞文庫が調査し、新発見の資料と確認された。

 新発見の俳句は「野ざらし紀行」の旅中に芭蕉が書き残したメモとしてつづられていた。水口(みなくち)(滋賀県甲賀市)を訪れた際の連句会で詠まれたもので、連句会の主人の発句、伊賀大仙寺の僧の脇句に続き、「三股(マタ)の桜にのぼる人有て」の句が「愚句(ぐく)」(芭蕉が謙遜して用いた署名)の名で記されていた。連句会があったことは紀行文に記されていたが、句の内容は伝わっていなかった。