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トップ > シゴタノ! > 『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』、学んだあとにすべきことは?





大橋悦夫「仕事に必要なことはすべて●●が教えてくれる、●●で学べる」という本はたくさん出版されていますが、「●●」が自分にとって放っておけない言葉であれば、もうその本を読むしかありません。

そんな風にして、ほぼタイトルのみで即決し、購入にいたったのが今回ご紹介する『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』です。

» 仕事に必要なことはすべて映画で学べる[Kindle版]


ここ数年、月に平均20本ほどの映画・ドラマを観るようになり、映画というものがいかに密度の高いコンテンツかということを痛感していたところに、本書のタイトルが突き刺さったわけです。

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疑似体験からの回収率を高めるために

著者は「うる星やつら」、「パトレイバー」、「攻殻機動隊」の押井守さん。

全編、映画作品の解説 → 分析 → 現実へのフィードバック、という三段構成で「あぁ、あの映画はそういう風に解釈するのか!」とか「あのシーンはそういうことだったのか!」あるいは「そこに落とし込むのか!」といった「!」の連続。

人生の時間は限られているので、あらゆることを経験することは不可能。となれば、誰かの経験を疑似体験することで糧にしていくしかありません。

映画はそんな疑似体験のためのかっこうの手段といえます。

映画は2時間前後という尺が決まっていますから、そこから得られる経験は必然的に「いいとこ取り」のダイジェスト版になります。

「このまま15分加熱します、はい、15分加熱したものがこちらになります」という料理番組のごとく、無用な待ち時間はことごとくカットされ、実に効率が良いわけです。

でも、それだけに無駄なシーンはほとんどないはずなので、集中力と予備知識が求められます。

僕は映画評論家の町山智浩さんのファンなのですが、町山さんの映画解説にはいつも唸らされます。作品の時代背景、出ている役者のフィルモグラフィー、さらには脚本家や監督の世界観などなど、膨大な知識を要領よく整理し、当意即妙に、ときにはあえて冗長に盛り込みながら「町山智浩観」という刻印が押されて世に出てきます。

例えば、以下の記事。マイケル・ムーア監督の『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』という映画について語っています。

» 町山智浩『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』を語る

で、なぜこういう映画をマイケル・ムーアが作らなきゃならなかったか?っていうのがね、わからないと思うんですよね。これをただ見た人は。

引用した部分でまさに“町山節”が炸裂しています。前後の文脈がないと分かりにくいと思いますが、要するに「なぜこの監督がこういう映画を作るのか?」という謎を設定し、この謎を解明していくわけです。最後に謎が解明され尽くしたとき、「うわぁ~、そういうことだったのか~!」というカタルシスがやってきます。これが(僕にとっての)「町山智浩観」という刻印です。刻印に引き寄せられて、ついつい読んでしまう。

同様に、押井守さんにも「押井守観」という刻印があります。本書『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』を読み進めていくうちに少しずつその印影が心の中に残像として残るようになります。

映画を観ているときに「この作品、押井さんだったらどういう風に解説するだろうか? 何になぞらえようとするだろうか?」とふと考えるようになるのです。

秘伝のソースを熟成させる

「町山智浩観」にしても「押井守観」にしても、単に背景知識や映画ウンチクだけで成り立っているわけではありません。その人がそれまでに生きてきた中で培ってきた人生観や世界観といった、長年にわたって継ぎ足し続けられた“秘伝のたれ”がベースにあり、そこに知識をひたしていくことで生まれます。

知識だけでは味気ないのです。

そう考えると、ただ漫然と映画を観るだけというのは実にもったいない時間の使い方だと思えてきます。

映画を観終えると、つい「ネタバレ」とか「正しい解釈」を求めてえんえんとネットサーフィンをしてしまいがちですが、まぁ、それも楽しみの1つでもあるのでやってもいいとは思いますが、それに加えて、その映画作品からどんなメッセージを受け取ったのか、どんな新しい視点が得られたのか、どんな感情がわき起こったのか、あるいは、どんな古い記憶が蘇ってきたのか、などなどについて、いちいち時間をとってまとめておくと、自分の“ソース”(sauce/source)が味わい深くなるのではないか、などと考えたりしました。

» 仕事に必要なことはすべて映画で学べる[Kindle版]


» 仕事に必要なことはすべて映画で学べる


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