こんにちわ、サユです。
私は私立理系大学に4年在籍し、中退しました。
その際、奨学金を利用することはありませんでした。
私の分も、そして弟の分も、両親は学費を積み立てておいてくれたのです。それこそ、私達が生まれてすぐの頃から、コツコツと。
もしも。
もしも私が奨学金を利用してしまっていたら。
そう考えると、背筋がぞっとします。
奨学金は借金だ。
奨学金の返済が叶わず、自己破産する若者が増加しているという話を、NHKの番組で目にしました。
今の私はニートです。大学を卒業できなかったのは、うつ病が悪化してしまった所為ですから、就職なんてとても無理です。返済能力なんて小指の先ほどもありません。
大学に通っていた時、私が奨学金を利用することは可能でした。それなりの成績は確保していましたし、「両親の負担を減らしたいから、奨学金を借りても良いと思っている」という話を親にしたこともあります。
その時、父が言ったのです。
「俺は子供に借金させたくなかったからな、昔から学費だけはちゃんと積み立ててある。余計な心配はするな」
私は父親のこの言葉がどんなにありがたかったか、どんなに父親の判断が正しかったのか、今になって噛み締めています。
大学にちゃんと通って卒業し、就職したにもかかわらず、返済に窮した子供が自己破産し、その結果連帯保証人になっている親までも自己破産してしまう。
こんなむごい話があっていいのだろうか。
期限内に返済できない若者に対し、容赦ない取り立てを実行する日本学生支援機構。私にはただのサラ金にしか見えませんでした。
……いいえ、返済能力を確認せずに多額のお金を貸し付けてしまうのだから、サラ金なんかよりよっぽど悪質です。
大学に入らなきゃならない社会。
本当に勉強したい人だけが大学に入ればいい、と言う人がいます。
けれども、今の日本には、「大学を卒業しないとまともな職にありつけない」という考えが蔓延しています。
だからみんな大学にいく。たとえFランでも、大卒の資格を取るために。
誰もがみんな大卒で就職するようになったから、それが普通になってしまいました。昔は高卒の人が担っていた仕事を、今は大卒の人が担っています。そうなると、高卒じゃそう簡単に就職なんてできない。やっぱり、大学に行かなきゃならなくなる。
その為に奨学金を借りるけれど、幸運な就職先に巡り会えなければ、その先に待ってるのは、悲劇。
人間の生き方が多様化していると言いますが、そんなのは表面だけです。
今も、多くの若者が、多様な生き方を選ぶチャンスも知識も与えられないまま、先の見えないレールに乗っかって走っています。
この国の仕組みはどうかしている。
本当に学生を支援するつもりがあるのなら。
国立大学の学費だけでも、学生がアルバイトで稼げるレベルまで下げることはできないのでしょうか。
私立大学から「優秀な生徒が奪われる」という苦情がくるからダメなのでしょうか。
貧しい家に生まれた子供は、それだけで未来が閉ざされてしまう。どんなに優秀で、勉強して頑張ったって、どこかでつまづいて奨学金が払い切れなかったら自己破産行き。全てを失ってしまう。
学生に時限爆弾のような借金を背負わせることが、「学生支援」と名の付く組織のやるべきことでしょうか。
利子を要求して、延滞金を要求して、学生の人生を踏み潰して、一体誰が儲けているのでしょうか。
子供は贅沢品になってしまった。
子供は贅沢品だと誰かが言いました。
私も、そう思います。
貧しい二人が結婚して幸せになれたら、それは素敵なことです。今の日本なら、自分一人が生きていくためのお金くらいならば、まだなんとかなります。二人で働いて、支え合って生きていく姿はきっと幸せに満ちているでしょう。
けれど、子供が生まれた瞬間、両親は子供の将来の学費について考えなければならなくなります。
それは、「自分一人が生きていくためのお金くらい」ではなんとかならない金額です。
独身ですが、こんな現実を見せ付けられて、子供が欲しいなんて思えません。
この先運良く誰かと結婚することができたとしても、よっぽど収入に自信が無ければ、子供が欲しいなんて思えないでしょう。
現実を教えないのは罪だ。
奨学金は、名前だけ美しくても、ただの借金です。ローンです。利子が付きます。間に合わなかったら延滞金まで負担させられます。取り立ては容赦しません。自己破産まで追い込まれる人が毎年何千人と存在します。
この事実を、もっと広めて欲しい。
大学生に言っても手遅れです。大学に進学しようとしている高校生達にこそ、広めてほしい。
私が高校生の時に、奨学金のことなんて考えたことがなかった。大学に入ってからだって、借りたら普通に返せるもんだと思ってた。こんなにたくさんの人が返済に苦労してるだなんて、本当にちっとも知らなかった。
現実を教えないのは罪だ。
親に迷惑をかけないために奨学金を借りた結果、自分だけでなく家族全員が自己破産に追い込まれる事例。
もし、父親が私のために学費を用意しておいてくれなかったら、テレビの中のあの子が、あの家族が、今の私達の姿だったかもしれない。
胸を切り裂かれるような思いがしました。