除染された地域で再び線量が高まっている?
福島第一の原発事故から5年を控えた2月中旬の南相馬市。自転車で登校する小さな女の子たちの無邪気な姿を目にして、ショックを受けて深くため息をつく男がいた。米国バーモント州で“フェアウィンズ・アソシエイツ”のチーフエンジニアを務める原子炉の専門家、アーニー・ガンダーセン氏だ。
45年に渡り、原子炉の設計、運営、廃炉に携わって来た同氏はスリーマイル島の原発事故の研究とその公表に従事。福島原発事故後も独自の調査を行い、日米のメディアで、原発の危険性を声高に訴えて来た。
そんなガンダーセン氏は、事故から5年を経て、再び、福島の地を訪ねていたのである。ガンダーセン氏が、女の子たちの姿を見てショックを受けた理由をこう説明する。
「今回の訪日で福島の再調査を行いましたが、驚いたことは、すでに除染された地域が再汚染されているという現状です。これは予測していないことでした。除染された地域では、あまり高い放射線数値は出ないだろうと思っていたからです。しかし、結果はその反対だったのです」
今回の訪日で、ガンダーセン氏は、南相馬市のタウンホール屋上や、セブンイレブンのフロアマット、道路脇などからダストを採取。それらを計測したところ、放射線廃棄物遺棄場に運び出されなくてはならないような大きな線量が検出されたという。
「この結果については、近いうちに科学論文を発表するつもりです。それが完成するまで数値は公表できないのですが、明らかに、今も高放射線量のダストが街を飛び回っていることを示す数字でした。つまり、除染された土地が再汚染されているわけです。
小さな子供は、成人男子の20倍も放射線の影響を受けます。日本政府は20ミリシーベルトという基準値を設けましたが、それは、成人男子に対して当てはまるもので、小さな女の子は、実際は400ミリシーベルト相当の放射線の影響を受けているのです」
-
なぜエリートほど大きな間違いを犯すのか?「国会事故調」元トップが明かす「ニッポンの病理」(2016.04.16)
-
震災特番「視聴率全滅」が意味するもの ~日本人は冷たいのか? それとも、見られない理由があるのか?(2016.04.05)
-
熊本大地震、そのとき「熊本刑務所」で何があったか? 過去に例を見ない「決断」の舞台裏(2016.04.30)
-
熊本地震で露呈したテレビ局「失態の数々」(2016.05.08)
-
活断層は必ず動く! ~熊本地震の「次」に今すぐ備えよ(2016.04.27)
- イギリス「EU離脱」をめぐる大混乱の実情 ~「タブー」に触れ、怒鳴り合う政治家たち(2016.06.03)
- 「日本一の演技力」満島ひかりが黒柳徹子に憑依! 『トットてれび』の舞台裏「あの頃のテレビは面白かった」(2016.06.03)
- 前代未聞!セコム会長・社長「異常な解任劇」の一部始終(2016.06.03)
- 135万部のベストセラー『嫌われる勇気』はこうして生まれた~構想16年、初版8000部からの挑戦(2016.06.03)
- 「フクシマではいま、再汚染が起きている可能性がある」米国原子力研究家の警告 (2016.06.03)
- 日本人を苦しめる「一億総ランキング社会」という病(2016.06.02)