2016年5月30日23時38分
東京電力福島第一原発近くに工場がある農薬メーカー「アグロカネショウ」(東京都港区)が、原発事故で工場が操業不能になったとして東電に約1億7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、約1億4500万円の支払いを命じた。中吉徹郎裁判長は、東電の賠償額の計算方法について「実態に合わない」と述べた。
同原発の南約2キロにある福島工場は、事故後に避難指示が出され、現在も操業できない状態が続いている。訴訟では、福島工場の生産分を他社に委託するまでの33日間に失った利益の算出方法が争点になった。
判決は、売り上げの減少分から、全社員の約1割が務めていた福島工場の人件費などを差し引いて、逸失利益を算出した。一方、福島工場が同社の売り上げの4割強を占めていたことから、総人件費の4割を差し引くべきだとした東電の算出方法は「過少に算出した」として退けた。
判決後に会見したアグロカネショウの櫛引博敬社長は「事故後、社員がどれだけの努力をしたかを認めようとしない東電に怒りを覚えて提訴した。判決にホッとしている」と話した。
東京電力は「判決の内容を確認した上で、引き続き真摯(しんし)に対応して参ります」との談話を出した。
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