輸出不振の影響で、韓国の4月の経常収支黒字が激減した。基幹産業である造船・海運業の競争力が低下し、構造調整に苦しむ中、輸出統計にも赤信号がともった。
韓国銀行によると、4月の経常収支黒字は33億7000万ドルで、3月(100億9000万ドル)の3分の1に落ち込み、昨年4月(77億3000万ドル)の半分に満たなかった。月次ベースでは2014年1月(18億7000万ドル)以降で最低だった。
4月の輸出は前年同月比19.2%減少し、輸入の減少幅(18.7%減)を上回った。主力品目の輸出が軒並み落ち込んだ。ディスプレー用パネルの輸出が30.7%減少したほか、家電製品(25.0%減)、乗用車(18.3%減)、精密機器(16.5%減)、鉄鋼製品(13.9%減)などが2桁台の落ち込みとなった。
輸出不振の影響で、産業生産も停滞している。統計庁がこのほど発表した4月の産業生産は、前月を0.8%下回り、3カ月ぶりのマイナスとなった。造船受注残高が急減し、造船業が90%を占める「その他輸送設備」の生産が前月を12%下回った。
これは世界的な景気低迷で世界の貿易が縮小する中、中国などライバル国に追い上げられたためとみられる。外部環境は当面改善が見込めないため、韓国の輸出体質の改善が急がれるとの指摘が出ている。
■世界的な貿易縮小の影響
世界貿易機関(WTO)によると、今年1-3月の世界71カ国の相互貿易額は6兆9450億ドルで、前年同期(7兆5260億ドル)に比べ7.7%減少した。第1四半期の世界の貿易額が6兆ドル台に落ち込んだのは、2010年(6兆4480億ドル)以来6年ぶりだ。
世界の輸出で3.5%を占め、国内総生産(GDP)に占める輸出の割合が半分を超える韓国は、世界貿易の縮小による影響を直ちに受ける。1-3月の韓国の輸出減少幅(13.3%減)は、アジアでシンガポール(14.4%減)、インドネシア(14.0%減)に次いで大きかった。経済協力開発機構(OECD)は先月16日に発表した韓国経済に関する報告書で、「輸出依存度が高い韓国経済の特性上、世界貿易の回復が遅れることは、韓国経済の持続的成長にとって最大のリスク要因だ」と警告した。
各国による保護貿易の動きが強まり、世界的な需要低迷が続く中、世界貿易の見通しも明るくない。国際通貨基金(IMF)は「世界的な貿易の伸びの鈍化傾向は景気変動とは関係ない構造的な要因であり、世界経済が回復しても以前にように貿易が増えることはない」と診断した。