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ヘイトスピーチおそれで仮処分

06月02日 18時05分

川崎市の男性などが計画しているデモについて、横浜地方裁判所川崎支部は、民族差別的な言動を繰り返すヘイトスピーチが行われる可能性が高いとして、市内にある在日韓国人の男性が理事長を務める団体の施設周辺でデモを行うなどの行為を禁止する、仮処分の決定を出しました。
申し立てをしていたのは、在日韓国人の男性が理事長を務め、介護施設などを運営する川崎市川崎区の団体です。
団体の弁護士によりますと「市内に住む男性らは、多くの在日韓国人や在日朝鮮人が生活する団体がある地区で民族差別的な言動を繰り返していて、今月5日にもデモを計画しヘイトスピーチを行う可能性があり、業務を妨害されるおそれがある」として、団体の周辺で、デモを行うことを禁止することを求めた仮処分を裁判所に申し立てしていました。
これについて横浜地方裁判所川崎支部の橋本英史裁判長は「男性らの発言から計画されているデモでヘイトスピーチが行われる可能性が高い。新たに成立したヘイトスピーチを解消するための法律をみても、在日韓国人や在日朝鮮人などの平穏な生活は強く保護されるべきだ」と指摘し、団体施設の入り口から半径500メートル以内でデモを行うことや大声を張り上げて差別的な意識を助長する行為を禁止する、仮処分の決定を出しました。
デモを計画している男性をめぐっては、川崎市は市が管理する2つの公園でこの男性が企画している集会について、民族差別的な言動を繰り返すヘイトスピーチが行われる可能性が高いとして、公園の使用を認めないことを決める異例の措置をとっています。

仮処分が認められたことについて、申し立てをした団体の代理人を務める神原元弁護士は「決定は、成立したばかりのヘイトスピーチを解消する法律を引用して出された初めてのもので、弁護団としては、今回の判断は、画期的、歴史的なものだと評価している。新しい法律は実効性について疑問があったが決定を通じて今後、裁判所の規範となることを確信したほかこの法律を作るために努力した人たちの成果だと感じている」と話しています。

仮処分を申し立てた社会福祉法人、青丘社の三浦知人事務局長は「デモは私たちの住宅街、商店街に深い傷を残してきました。この決定をきっかけに、ヘイトスピーチに悩まされている全国の地域からこの異常事態がなくなってほしいです」と話していました。
また、同じ法人の施設で働く崔江以子さんは「この決定で地域の子どもたちがヘイトスピーチに怖がることはなくなります。新しい法律ができても、助けてもらえないのではないとか、繰り返されるなら自ら命を絶ちたいと言っていた地域の在日コリアンのおばあちゃんもいたので、早く帰って報告したい」と話していました。

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