実際、私たちはアフガニスタン人の一部を殺害することによって、アフガニスタンの国民に善い行いを施していると考えているかもしれない。それは第2次世界大戦を終わらせるため、日本本土への地上侵攻が実施されていたならば、命を無くしたであろう何万人のために善い行いをしたと信じていることと同じである。
「テロとの戦い」をめぐる議論はほとんど起きない。なぜなら議論そのものが多分に不必要だからだ。広島の神話は、ご都合主義の幻想が道徳的懸念を拭い去ってしまうことを物語っている。それは私たちの良心の中に巧妙にしまい込まれ、次はどこを攻撃するか考えることを残すのみだ。
日本もまた、戦時中の自身の戦争行為を深く検証できないという罪を犯している。それでも、第2次世界大戦中とそれ以降の驚くべき残虐行為の数々と比較しても、世界で唯一となる核兵器使用は、不名誉なものとしてなおも重大な位置を占めている。
犠牲となった多数の罪のない民間人を日本政府に見せて降伏に追い込むこと(1945年当時はこの計画がうまく行くかは誰にも分からなかったが)。そして、さらに多くの爆弾を投下すると脅し、無防備な都市に対する将来的な連続攻撃に対して、日本という国を人質に取ること。これらはかつて見たことがないほどの残酷さを物語っている。
オバマ大統領が、こうした不幸な人命の損失の理由について、それらがあたかも自然災害だったかのように、考察することなく広島を訪れることは、過去71年間、どの米国大統領もこの被害都市を訪問することの重要性を特に感じていなかった点と、悲劇的に合致している。20世紀の最も重大な出来事の1つに対する米国の自己反省の欠如は、21世紀への影響も伴って、今も続いている。
*筆者は、米国務省に24年間勤務。著書にイラク再建の失策を取り上げた「We Meant Well: How I Helped Lose the Battle for the Hearts and Minds of the Iraqi People(原題)」などがある。最新刊は「Ghosts of Tom Joad: A Story of the #99 Percent(原題)」。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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