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 舞鶴引揚(ひきあげ)記念館(舞鶴市平)で1日、新収蔵品展(前期)が始まる。昨年10月の世界記憶遺産登録後、抑留・引き揚げ体験者や遺族らからの寄贈が急増。引き揚げ者の出迎えの記録や舞鶴で配られた外食券など、新たに収蔵された貴重な資料のうち455点が展示される。

 初めて収蔵された資料の中には、元舞鶴市議会議長の上林貞蔵さんが残した冊子がある。1953年に市を代表して引き揚げ者を出迎えるのと同時に、当時国交のなかった中国との経済交流を探るため、中国・上海に渡った際の記録だ。横浜から渡航し、引き揚げ者といっしょに舞鶴に帰ってくるまでの9日間を日記風にしたためた61枚の冊子で、長男の茂さん(86)が、貞蔵さんの孫の市職員、浜本知子さん(52)を通じて寄贈した。

 抑留体験者の故白鳥喜裕さんの遺族(札幌市)が寄贈した、舞鶴の地方引揚援護局で引き揚げ者に配られた「旅行者外食券」も初の資料だ。長嶺睦学芸員は「外食券は使われると通常は残らないので、貴重な資料だ」と語る。