田中
「中国で民主化を求める学生たちが、武力で鎮圧された天安門事件。
大勢の死傷者を出したあの日から、まもなく27年を迎えます。
今日(30日)の特集は、事件の記憶が薄れる中、揺れる香港の新たな動きを見つめます。」
児林
「事件は一部の学生の『暴乱』だとして、報道を固く禁じてきた中国政府。
これに対し、言論の自由が認められた香港では、市民団体が毎年欠かさず追悼式を行い、中国政府に対し、事件の評価の見直しや中国の民主化を訴えてきました。」
田中
「香港には、この天安門事件の民主化運動を象徴するような記念館があります。
そこに香港支局の吉岡記者がいます。
吉岡さん、この記念館、どんな場所なのでしょうか?」
吉岡拓馬記者(香港支局)
「天安門事件は、発生した6月4日にちなんで、こちらでは『六四』と呼ばれます。
ここは中国で唯一の天安門事件の記念館です。
一昨年(2014年)4月、香港の繁華街の雑居ビルの中にオープンしました。
入るとすぐに、たくさんの写真や当日の新聞記事などを使って、事件に至るまでの詳しい記録が記されています。
これまでの来場者数は、およそ2万2,000人。
やってくるのは地元の人たちだけではありません。
香港を観光などで訪れた中国本土の人たちが全体の20%余りを占めるということなんです。
こちら、ご紹介したいコーナーがあります。
遺族から提供を受けた遺品を展示するコーナーです。
犠牲となった学生があの日の夜に身につけていたヘルメットです。
銃弾が貫通した跡が、生々しく残っています。
このほかにも、犠牲となった若者がしたためた遺書や、身につけていたカメラや時計なども紹介されています。」
児林
「こうして見てみますと、命をかけた現場だったんだということを感じますね。」
吉岡記者
「そうですね、まさにこういうものに実際に触れることで、その当時のことを実感できるという印象を受けました。
ご覧のように香港は、中国本土における民主化運動の拠点であり続けてきましたが、このところ大きな変化にさらされています。
事件の記憶を風化させまいと取り組む、市民劇団を取材しました。」