微小粒子状物質(PM2.5)や粒子状物質(PM10)に関する韓国環境当局の不正確な予報が、国民を困らせている。濃度が「悪い」レベルに上昇したときでも前日午後5時に発表された予報は「普通」だったり、逆に「悪い」と予報されても実際には「普通」レベルの濃度だったりと、誤報が続いているのだ。「韓国政府の予報は信じられない」と日本のサイトで予報を確認する国民が増えるなど、政府への不信も深まっている。
高濃度の大気汚染が発生した先月25日から30日にかけての6日間、環境部(省に相当、以下同じ)と気象庁が政府公式サイト(エアコリア)に発表したソウル市、仁川市、京畿道のPM2.5予報の正確度を本紙が分析した結果、ソウル市は2回、仁川市は4回、京畿道は3回、それぞれ外れていた。3地域の計18回の予報のうち、半分に当たる9回が外れたことになる。
PM2.5よりも粒径がやや大きいPM10の予報も、18回のうち7回(39%)が外れていた。予報の正確度は、前日午後5時に発表された予報を翌日の実際の濃度と比較する方法で調べた。
特に、日曜日だった29日の午前5時、気象当局はソウルをはじめとする首都圏3地域のPM2.5濃度を「悪い」(大気1立方メートル当たり51-100マイクログラム)と予報したが、この日の実際の1日平均濃度は39-42マイクログラムと「普通」(16-50マイクログラム)レベルだった。25日午前5時には「普通」と予報したが、実際の1日平均濃度は高いところで61マイクログラムに達した。健康に大きな害を与える高濃度の大気汚染が続く中、当日朝に発表された予報さえも当たっていなかったのだ。環境部の関係者はこれについて「予報士たちの予報能力を上げることが喫緊の課題」と話している。
誤報が続いていることから、日本気象協会のサイト(www.tenki.jp)でPM2.5分布予測を確認する人も増えている。ある会社員(50)は「日本のサイトでは中国で発生した汚染物質が風に乗って韓国に流れてくる様子がリアルタイムで分かるため、便利だ。こうした情報をなぜ韓国は提供できないのか」と語った。
韓国政府の政策に対する不信感も頭をもたげている。「大気汚染物質がどこから、どれだけ発生するのかについて、政府の統計を信じられない」という声は大きい。実際に首都圏のPM2.5の場合、政府は過去に「ディーゼル車が6-7割を排出している」と発表したが、最近になって「中国から約5割が流入し、ディーゼル車の寄与率は15%ほど」と異なる見解を示した。
大気汚染の専門家は「環境部の中でさえ、PM2.5の寄与度についての推計が異なることが多い。最も基本となる国の統計さえもきちんと算出できていないことが、国民の不信を招いた主因だ」と指摘している。近ごろ軽油の値上げや火力発電所規制などのPM2.5低減策をめぐり、環境部と企画財政部、産業通商資源部などがあつれきを深めていることも、「不正確な統計が原因」と指摘される。