セ・リーグの本塁打ランキングを眺めていると、あらためて山田哲人(ヤクルト)のすごさに気づかされる。180センチ、76キロという“大砲”と呼ぶには心許ないサイズながら、本塁打王争いを牽引しているのである。その山田とタイトルを争っている外国人選手たちに“小さな日本人スラッガー”はどう映っているのだろうか。
■まさかの「交流戦セ・リーグ優位説」。パに勝ち越せるこれだけの根拠
ウラディミール・バレンティン(ヤクルト)は、2013年にシーズン60本塁打の日本プロ野球記録を樹立したスラッガーで、現在、チームメイトの山田より1本少ない15本塁打を放っている。4番を打つバレンティンは、いつもウエイティングサークルから山田のバッティングを見ている。
※今季の成績はすべて5月31日現在
「ボールを遠くに飛ばすのに重要なことは、体のサイズではなく、ボールの下を叩くことなんです。ボールにバックスピンをかければ、打球は遠くに飛びます。僕は山田が19歳のときから見ているけど、彼はバックスピンをかける技術に長けていた。だから、山田があのサイズながらホームランをたくさん打つことに驚きはありません。この技術は努力して身につけたというより、持って生まれた才能だと思います。早くから球場に来て練習するし、練習量も多い。それもホームランを打つことにプラスになっていると思うけど、もともとのベースはホームランを打てる才能を持っていたということです」
バレンティンはそう話すと、手にしたボールの中心部からやや下のあたりを拳(こぶし)で叩き、両手でボールをくるくると回す。すると、そのボールはじつに“いい角度”で飛んでいくのだった。
―― バレンティン選手は、誰が見てもホームランバッターですが、山田選手はどんなバッターだと思いますか。
「カテゴライズが難しいですよね。ホームランも打てるし、打率も残せる。“コンプリートヒッター”と呼べばいいんですかね。理想のタイプの打者です」
ホセ・ロペス(DeNA)は4月9日のヤクルト戦で1試合3本塁打を記録するなど、ここまで4位タイの13本塁打を放っている。ロペスから見た山田評はこうだ。
「ホームランを打つには、ボールにバックスピンをかけることがポイントです。私は試合前のティーバッティングで、バックネットに向かってバックスピンをかける練習をしています。山田はバックスピンをかけるのもうまいですが、特に目を見張るのはスイングスピードの速さですよね。あのスピードがあるから、体が小さくて力がなさそうに見えるけど、あれだけのホームランが打てるのでしょう」
マウロ・ゴメス(阪神)は来日1年目の2014年に打点王を獲得。3年目となる今季も安定した打撃を見せ、現在、セ・リーグ4位タイの13本塁打。ゴメスに山田の印象を聞くと、バットとボールを手にして、「どう言えばいいのかな」と何度も口にしながら、実演をまじえて話をしてくれた。
「山田は体のサイズは小さいんですけど、ホームランバッターのような大きなスイングをする選手で、打ったあとのフォロースルーも大きい。日本人の打者はボールをこうやって(上から叩くように)小さく打つ感じで当てにくるんですけど、そこがほかの日本人選手と違うところかな」
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