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震災対策
震災対策をすると称して、政府はとんでもない無駄遣いをする。
《 熊本地震予備費1千億円で旅行割引・中小企業支援 》
安倍内閣は31日、熊本地震からの復旧のため2016年度補正予算でつくった7千億円の「熊本地震復旧等予備費」のうち、1023億円を使うことを閣議決定した。中小企業の事業再開や、観光復興のための支援策を進める。
観光支援策は 201億円で、そのうち 180億円は九州旅行のパックツアーや宿泊代の割引に充てる。
割引率は、被害が大きかった熊本、大分両県では、7〜9月が最大で70%、平均は50%となり、10〜12月は平均25%。
中小企業の事業再開支援では、東日本大震災のときにつくった「グループ補助金」を活用する。取引先や地域内の複数の企業が一緒に再開に取り組む場合、工場や商店の設備の復旧にかかる費用の4分の3(地方負担分含む)を補助するしくみだ。予算額は計400億円。
( → 朝日新聞 2016-05-31 )
呆れる。多少の補助金を付けるのはいいとしても、せいぜい 30%だろう。ところが逆に、30%が自費で、70%が税金で払うという。この金が観光業者に回るのならともかく、この金を実際にもらうのは観光客だ。熊本県民はろくに潤わず、県外からの観光客ばかりがボロ儲け。そのために 70%も税金で補助する。湯水のごとく金を無駄遣いする。
また、「設備の復旧にかかる費用の4分の3を補助」って、それじゃ 75%の補助だ。70%よりもひどい。これじゃ、「補助」という言葉が泣くよ。「補助」じゃなくて、「国費の贈与」だろう。補助的なのは、自費の方だ。これもまた、湯水のごとく金を無駄遣いする。
その一方で、被災者は、どうなっているか? 最低限度の生活さえ得られないまま、相も変わらず、車中泊やテント生活だ。夏だからまだ生きていられるが、この状況が冬だったら、死者多数になりそうだ。それほどひどい。
《 避難所よりも倉庫・ハウスで 》
熊本地震で2度の震度7に見舞われた熊本県益城町で、避難所に行かず、傾いた家や倉庫、ビニールハウスに身を寄せる人たちがいる。
段ボールやブルーシートが天井に張られ、ベッドやテレビ、食器などの日用品がぎっしりと置かれたニールハウス。益城町の平田地区に住む左官、吉野新一郎さん(68)と広子さん(74)夫婦が寝起きを始めて、1カ月が過ぎた。
4月16日の本震後、2人は避難所に行ったが、知らない人と暮らす集団生活に耐えられず、1週間で帰宅した。
谷岡ハルミさん(84)はブルーシートで覆われた平屋で息子と暮らす。地震で壁はひび割れてゆがみ、網戸も障子も閉まらない。
本震後、指定避難所の体育館に身を寄せた。しかし、ひざが悪くて和式便所が使えない。食事と水を控えたところ、膀胱(ぼうこう)炎に。2日後、自宅に戻った。
庭に止めた軽自動車での車中泊は1カ月に及んだ。
同じ平田地区の福嶋瞳さん(25)の一家5人は自宅敷地の倉庫で日中を過ごす。夜は車や庭のビニールハウス、倉庫内のテントに分かれて寝ている。
スイカ農家の両親は収穫時期を迎えて忙しく、家族は避難所に行かなかった。瞳さんは「農家はここを離れられない。やむを得ないです」。自宅の再建は1、2年先と考え、庭にはトイレや流し台をつくった。壁が無く、梅雨の大雨や夏の猛暑をどうしのぐかが差し迫った課題だという。
■全容なお不明
こうした避難者の全体像がつかめず、町は日本財団に調査を依頼。調査員が町内4地区の住宅を訪ね、被災状況や寝泊まりの場所などを聞いた。島田地区では全173世帯の約9割が避難所に行かず、損傷が小さかった自宅や、庭の倉庫、テント、車などで暮らしていた。
( → 朝日新聞 2016-05-31 )
まったくひどい状況だ。難民レベル。生活保護世帯でさえ、最低限度の衣食住が与えられているが、それを大幅に下回る状況だ。
そこで、「みなし仮設」の住宅に入ろうとしても、そのための要件である「罹災証明書」がなかなか発行されないので、みなし仮設には入れない。この件は、前にも述べた。
→ みなし仮設と罹災証明
現地の読者からも、現状報告が届いた。
うちは4月に罹災証明書を出したのにまだ発行されません。5月に罹災証明書を申請した友人は発行されました。もうホントに疲れました。。市役所に聞いても郵送しますから来るまで待って下さいで終わりです(泣)義援金も支給されたのはたったの1組らしいです。
( → 熊本地震1カ月: コメント欄 )
似た趣旨の報道もある。
《 「出直せ」罹災証明書めぐり益城町民から怒り 》
「83歳の姉を連れて熊本市内からタクシーでもう3回来ました」と60代の女性。「僕は98歳のおやじの家の壊れたから、神戸から来たけど、もういっぺん出直せて言われました」と70代の男性。「0歳の孫を連れて来た時も追い返されて、もう何度、来たのか分からん」と50代の女性。熊本県益城町の罹災(りさい)証明書を交付するグランメッセの駐車場には、被災者たちの行政に対する怒りとため息と不信の声があふれていた。
( → 毎日新聞 2016年5月29日 )
認定が不十分だ(厳しすぎる)として、不服申し立ても続出している。
《 不服申し立て6000件超す 罹災証明書巡り 》
熊本地震で大きな被害を受けた熊本県内15市町村の罹災(りさい)証明書の交付を巡り、家屋の外観から被害程度を判定する1次調査の結果を不服として2次調査を申し立てた件数が6086件(26日現在)に上っていることが分かった。罹災証明書の内容は、行政などから受けられる支援策に影響するため、被害程度が想定より軽く判断されたとして避難者から不満が上がっている。
1次調査は、市町村職員が数人で家屋の外壁や屋根、基礎部分を10?30分程度で調査し、被害程度を判定する。判定内容に不服があれば住民が2次調査を申し立て、職員が外観だけでなく、柱や床、内壁、天井などの家屋の内部を数時間かけて調査する。
2次調査の申し立てが多かったのは、熊本市2649件▽益城(ましき)町1007件▽宇土市640件 ── などだった。南阿蘇村河陽(かわよう)の自宅が傾き地割れが起きるなどの被害を受けて避難所で生活を続ける渕上孝二さん(64)は、1次調査で「半壊」と判定されたが納得できず、2次調査を申し立てた。
県によると、26日までに各市町村に12万6848件の罹災証明書の申請があり、うち12万6432件について1次調査を終え、5万8924件の交付をした。
( → 毎日新聞 2016年5月28日 )
震災から1カ月半もたったのに、いまだに罹災証明書の交付は半分に満たない。このあとずっと、難民生活を強いられるわけだ。かわいそうに。
その一方で、各地から熊本に遊びに来る人のためには、たっぷりと金を出す。飲めや、歌えや、大名気分で、贅沢三昧をさせてあげるために、税金で7割も補助する。
まったく、金の使い方が、滅茶苦茶すぎる。
「弱気を挫き、強気を助く」
「貧者から奪い、富者には与える」
というのが、自民党の政治だが、まさしくそれをやっている。
保育所
保育所もまた、似た状況にある。
保育士の給料が安いのだから、保育士に給料を与えればいいのだが、どこをトチ狂ったか、保育士でなく保育所の側に補助金を与えようとする。しかも、それさえも実施を取りやめる。(消費税増税を取りやめたから。)
《 増税再延期 》
■「2年半」、選挙に配慮か 社会保障に影響
年金や介護、子育てといった社会保障への影響も避けられない。軽減税率を考慮しても、消費増税で税収が4兆円超増え、そのうち1.3兆円は社会保障の充実策に使う予定だ。所得が少ないお年寄りや障害者への給付金、介護保険料の軽減、保育所の運営費などに充てることが決まっているが、財務省幹部は「大部分はまた先送りするしかなくなるだろう」と話す。
( → 朝日新聞 2016-05-31 )
《 定昇導入に助成金 》
定期昇給制度を導入した保育所には助成金を出す仕組みも初めて設ける。定昇導入後に離職率が低下することを条件に、事業主に数百万円を助成する方向だ。政府は介護事業者向けには3年間で最大200万円の助成金を出す制度を設けており、これを参考に保育向けの制度を設計する。
( → 日本経済新聞 2016/4/22 )
政府は、保育士の給与の引き上げのためにも金を出すが、それに全額を投入しないで、かなりの金を保育施設側に渡す。例示的に言えば、「保育士の給料を引き上げます」と言って、保育士に2万円を与えるかわりに、保育所に2万円を与えて、そこから 5000円を保育所がピンハネすることを容認する。たしかに保育士の給料は上がるが、いったい何だって、保育所がピンハネするために税金を出すんだ? 保育士に直接払えばその問題はないのに。
利権
さて。ここまで見ると、自民党と業者の癒着がわかってくる。政府がこれほどにも「業者への支払い」にこだわるのは、そこからキックバック(リベート)が来ることを見込んでいるからだ。それは「政治献金」というやつだ。これがほしいからこそ、業界団体や業者にたっぷりと公金を支払うわけだ。
その一方で、震災の被災者や、保育所の保育士は、直接金をもらうことができずに、本来はもらえるはずだった金を奪われるわけだ。
国民 ──→ 国 ──→ 業者 ──→ 自民党
税金 助成金 政治献金
こういう流れができている。利権構造。
だからこそ、被災者や保育士は、悲惨な目に遭う。
その一方で、公金を食い物にした業者と自民党は、ウハウハだ。