熊本で被災のスーパー 59店舗で防煙壁が落下
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一連の地震で被災した熊本県内のスーパーのうち、少なくとも59の店舗で、天井に設置された「防煙壁」と呼ばれる、火災などのときに煙の拡散を防ぐガラス製の板が割れ、落下する被害が相次いでいたことが、NHKの取材で分かりました。専門家は「人的な被害につながるおそれがある」として、国が対策を急ぐべきだと指摘しています。
「防煙壁」は、火災などが起きたときに、ほかの区画に煙が拡散するのを防ぐため、天井を仕切るように設置された板で、燃えないなどの理由で多くがガラス製となっています。法律で一定の規模以上の商業施設などに防煙壁を設置することが義務づけられていますが、耐震基準は設けておらず、東日本大震災でも被災したスーパーなどで防煙壁が落下するなどの被害が相次ぎました。
熊本県内の主なスーパー15社を対象にNHKが防煙壁の被害状況を取材したところ、少なくとも13社の59の店舗で、防煙壁が割れて、落下していたことが分かりました。このうち、熊本市内のスーパーでは、10枚以上の防煙壁が割れて、食料品などの売り場に多くのガラス片が落下し、中には重さ2キロほどのガラス片もあったということです。59の店舗では、いずれも売り場の天井に設置していた防煙壁が落下していましたが、被害が出たのが夜間だったことなどから、けが人はいなかったということです。
建築物の耐震性に詳しい熊本大学大学院の山成實教授は「今回の熊本地震でもガラス製の防煙壁が地震に弱いことが明らかになった。人的被害が起きる前に、国は耐震基準や補助制度を設けるなどして対策を急ぐべきだ」と話しています。
熊本県内の主なスーパー15社を対象にNHKが防煙壁の被害状況を取材したところ、少なくとも13社の59の店舗で、防煙壁が割れて、落下していたことが分かりました。このうち、熊本市内のスーパーでは、10枚以上の防煙壁が割れて、食料品などの売り場に多くのガラス片が落下し、中には重さ2キロほどのガラス片もあったということです。59の店舗では、いずれも売り場の天井に設置していた防煙壁が落下していましたが、被害が出たのが夜間だったことなどから、けが人はいなかったということです。
建築物の耐震性に詳しい熊本大学大学院の山成實教授は「今回の熊本地震でもガラス製の防煙壁が地震に弱いことが明らかになった。人的被害が起きる前に、国は耐震基準や補助制度を設けるなどして対策を急ぐべきだ」と話しています。
売り場明るく ガラス製が主流に
国土交通省によりますと、防煙壁は、建築基準法で、延べ床面積500平方メートルを超える商業施設などに設置が義務づけられています。
火災などのときに煙が拡散するのを防ぐために天井に設置するもので、法律で、板の長さは天井から50センチ以上で、燃えない材質であることと定められています。
防煙壁を製造する大手メーカーによりますと、売り場を明るく見せたいというスーパーなどの意向から、透明で燃えないガラス製が主流になっているということです。ただ、ガラス製の場合、板1枚当たりの重さは平均的なもので20キロほどになるということです。
火災などのときに煙が拡散するのを防ぐために天井に設置するもので、法律で、板の長さは天井から50センチ以上で、燃えない材質であることと定められています。
防煙壁を製造する大手メーカーによりますと、売り場を明るく見せたいというスーパーなどの意向から、透明で燃えないガラス製が主流になっているということです。ただ、ガラス製の場合、板1枚当たりの重さは平均的なもので20キロほどになるということです。
震度6強や震度7の揺れ 実験では落下も
名古屋市に本社を置き、防煙壁のガラス建材などを扱う商社では、防煙壁の地震の揺れへの強度を調べる実験の様子をインターネット上で公開しています。
実験は、地震の揺れを再現できる起震車を使って行われ、天井に取り付けられた防煙壁に人工的な揺れを加え、どのような影響があるのかを確かめています。その結果、震度4に相当する揺れでは大きな影響は見られませんでした。しかし、震度6強や震度7に相当する揺れではすぐにガラス板が割れ、次々と落下していました。
実験は、地震の揺れを再現できる起震車を使って行われ、天井に取り付けられた防煙壁に人工的な揺れを加え、どのような影響があるのかを確かめています。その結果、震度4に相当する揺れでは大きな影響は見られませんでした。しかし、震度6強や震度7に相当する揺れではすぐにガラス板が割れ、次々と落下していました。
割れにくい材質に 対策の動きも
東日本大震災で防煙壁が落下する被害が相次いだことを受けて、大手スーパーなどが防煙壁を割れにくい材質のものに交換するなど、対策の動きも出ています。
このうち、熊本県八代市にある「イオン八代店」では、ことし3月にガラス製の防煙壁を樹脂製のものに交換したばかりでした。一連の地震で八代市は最大で震度6弱の揺れを観測しましたが、防煙壁が破損したり落下したりする被害はなかったということです。イオンによりますと、東日本大震災で宮城県などの店舗でガラス製の防煙壁が落ちるなどの被害が相次いだため、全国の店舗で落下しにくい材質のものに交換を進めているということです。イオン八代店の店長は「今回は日中にも震度5強の地震が起きたが、対策をとっていたので防煙壁が落ちることはなかった。店内の客も無事でほっとしている」と話しています。
一方、防煙壁を製造する大手メーカーによりますと、東日本大震災以降、大手スーパーを中心に割れにくい素材の防煙壁に交換する動きが広がりつつあるということですが、中小のスーパーなどではコスト面の問題もあって対策が進んでいないところも多いということです。
このうち、熊本県八代市にある「イオン八代店」では、ことし3月にガラス製の防煙壁を樹脂製のものに交換したばかりでした。一連の地震で八代市は最大で震度6弱の揺れを観測しましたが、防煙壁が破損したり落下したりする被害はなかったということです。イオンによりますと、東日本大震災で宮城県などの店舗でガラス製の防煙壁が落ちるなどの被害が相次いだため、全国の店舗で落下しにくい材質のものに交換を進めているということです。イオン八代店の店長は「今回は日中にも震度5強の地震が起きたが、対策をとっていたので防煙壁が落ちることはなかった。店内の客も無事でほっとしている」と話しています。
一方、防煙壁を製造する大手メーカーによりますと、東日本大震災以降、大手スーパーを中心に割れにくい素材の防煙壁に交換する動きが広がりつつあるということですが、中小のスーパーなどではコスト面の問題もあって対策が進んでいないところも多いということです。