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2016-05-31 オスプレイで賛否両論(軍事ではない)

昨年の2月、女子プロレス団体スターダムの後楽園ホール大会において、チャンピオンの世IV虎とチャレンジャーの安川惡斗のタイトルマッチが開催されましたが、凄惨な喧嘩マッチとなり安川が顔面に重傷を負う結果となり、一般マスコミでも取り上げられプロレス界の枠を超えた話題になりました。
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この試合は、実力が伴っていないレスラーを無理に売り出そうとしたこと、また信頼関係ができていないレスラー同士を無理に戦わせたことによる事故でしたが、「こんなのプロレスじゃない」という批判が、プロレスファン内外から多く集まりました。とはいえ、プロレスが人間と人間のぶつかり合いである以上、最大限避けなくてはいけない事態であるにしろ、これもまたプロレスの範囲内であることには違いないとぼくは思いました。
なお、あくまで女優でありレスラーとしては実力不足だった安川は、眼の持病もあり2015年12月にレスラーを引退。また、所属団体との不和もあり引退した世?虎は、一度は業界から身を引いて社会人として働いていましたが、のち他団体に移籍し、リングネームも「世志琥」と改名してプロレスに復帰しております。
時は流れて、2016年5月の現在。
またプロレス界を大きく揺るがす、レスラーや関係者、ファンたちの賛否両論を巻き起こす試合が行われました。
5月27日、あの凄惨マッチと同じ後楽園ホールで開催された、新日本プロレス「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」公式リーグ戦、リコシェvsウィル・オスプレイの一戦です。
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全身バネのごとき高い身体能力から繰り出すアクロバティックファイトで、空中殺法ナンバーワンの名をほしいままにするリコシェ選手。そこに、イギリスからやってきた「エアリアル・アサシン(空飛ぶ暗殺者)」の異名を持つ若き新鋭、オスプレイが挑むという構図です。まさに、空中殺法世界一決定戦といってもいいでしょう。
この試合は、ツイッターでファンがアップした30秒の動画により、彼らの人間離れしたムーヴが広く知られることになりました。
リコシェvsオスプレイやばすぎ笑
— Soma (@Box0426Ts) 2016年5月27日
人間ちゃうやん笑笑 pic.twitter.com/84M2umEtZ9
赤いショートタイツに坊主頭の選手がリコシェ、紫のロングタイツに金髪の選手がオスプレイです。
そして、かつて日本でも大活躍した巨漢の強豪レスラー、ビッグバン・ベイダーがこれを見て「これは体操やダンスの動きで、レスリングとしては悲しく思う」とツイートいたしました。
This is a memorized gymnastic/dance rountine it saddenens me to see the direction wrestling is headed https://t.co/TvU9eTkBC0
— Big Van Vader (@itsvadertime) 2016年5月27日
この意見がファンの賛否両論を呼んで話題になり、オスプレイは翌日の試合でベイダーの得意技とパフォーマンスを見せ、豪胆さをアピールしています。
また、この議論にWWEジェネラルマネージャーのウィリアム・リーガルや、元WWEで現・鈴木軍のシェルトン・X・ベンジャミンも参戦。くわしくはこちらをどうぞ。
世界的な大激論となっているリコシェ vs オスプレイ、WWE/NXTリーガルGMやベンジャミンも議論に参加 | エヌヒトのアメプロ万歳!| WWEニュース
日本のツイッターでも、プロレスファン以外の人も巻き込んだブームになり、中には「これは格闘技ではない」というような反応もまま見られました。
この話題性を受けて、新日本プロレスは動画配信サービス「新日本プロレスワールド」にて、期間限定無料配信に踏み切りました。あの30秒のアクロバットではわからない、ハードな戦いの様子が見られます。
第8試合 「BEST OF THE SUPER Jr. XXIII」Bブロック公式戦 リコシェ VS ウィル・オスプレイ
会員登録も不要で、誰でも見れます。ぜひ多くの人に見てほしい。とくに、プロレスを知らない、見たことないという人にこそ見てもらい、感想を聞かせてほしいですね。
プロレスのルールを知らない、という人は「相手に覆いかぶさり両肩をマットに押し付けて、レフェリーが3回マットを叩くまで保てばフォール勝ち」「絞め技や関節技でギブアップさせれば勝ち」「拳で殴るのは反則だが、1回ぐらいならレフェリーにちょっと注意される程度で済む」「リングの外に出て、レフェリーが20カウント数える間に帰ってこれなかったら負け。両者とも帰ってこれなかったら引き分け」これだけ覚えてくれれば充分です。
こうやってね、プロレスについて語る行為もまたプロレスである、というテーゼを古参プヲタは共有しているものでしてね。こういう盛り上がりこそプロレスの面白さですよ。「プロレスとは何か」という問いに答えなんて出るはずもないんだけど、敢えて言うなら「プロレスとは何か、と考えることこそがプロレスの本質である」ってことなんですよ。どんなプロレスラーに聞いても、誰もが納得する答えなんてあるはずはありません。ただわかっていることは、「プロレスとは何か」を考えていないレスラーなんていないし、深く考えれば考えるほどそのレスラーの試合には味わいが増す、という事実のみです。
- 2016.5.27 KORAKUEN Ricochet vs Will Ospreay
久々に20分以上の動画でプロレスの1試合を丸々、見ました。
第一印象は、「これってまんま、歌舞伎やんか」ということです。
いちいち客に見得を切ってアピールする「プレイヤー」だけでなく、
それに絶妙のタイミングで声援を送る客そのものも、歌舞伎そのものですね。
歌舞伎で、素人が中途半端に「○○屋!」と掛け声かけてもせんないです。
歌舞伎をよう知った客が、ここぞという時に、それなりの掛け声かけてこそ、
芝居も盛り上がる、その意味でも歌舞伎だと思いました。
二人の「プレイヤー」の試合そのものが芝居とは思いませんが。
ただ、互いに「致命傷」を避け合う動きは大したものだし、
それを可能にする双方の肉体的、運動的能力の鋭さ、瞬発力とか、危険回避能力とか
はすごいと思いました。
いくら「致命傷」を避けるとはいえ、仮に私がどちらかから、「致命傷」を
避けられるような技をかけられたとしても、
まあ、間違いなく「致命傷」を負いますなあ。
それを互いに見切ったうえで「致命傷」を避けながら技が続けられるというのも
「プレイヤー」が互いの力量を、ある程度、理解しないとできないことやないですか。
そういうことも含めて、これは現代の新しい歌舞伎やないかと思いました。