【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦被害者を支援する財団の設立に向け、韓国政府が31日に準備委員会を設置する。慰安婦問題をめぐる昨年末の韓日合意履行に向けて第一歩を踏み出すことになる。
韓日両国は被害者の名誉と尊厳を回復し心の傷を癒すため、韓国政府が支援財団を設立し、日本側が10億円を拠出することで合意した。
韓国政府は財団設立準備委員会を通じ定款作成や事務所の確保などの作業を進め、来月財団を発足させる計画だ。当事者の意見を十分に取り入れ財団を運営する姿勢を示している。
しかし、財団の運営には課題が山積する。
被害者を支援する市民団体の韓国挺身隊問題対策協議会と被害者が共同生活を送る施設「ナヌムの家」、ここに暮らす被害者を中心に、慰安婦合意に対する反発はなお強い。韓国の弁護士を中心とした「民主社会のための弁護士の集まり」は被害者29人と死去した被害者遺族の代理として、韓日合意に対し憲法判断を求める訴訟を起こした。
政府は個別に暮らす被害者それぞれと面談したところ、韓日合意を評価し支援財団の早期発足を希望したとするが、被害者自身の積極的な参加に向け、政府の一層の働きかけが必要だ。
また、韓国は新たに第20代国会が始まる。少数与党となることから、韓日合意の無効と再交渉を主張する野党の圧力が予想される。
日本側が繰り返し撤去を求めるソウルの日本大使館前の少女像も韓日合意を覆す要素になりかねない。日本が少女像の撤去と財団への拠出金を今すぐ直結させることはなさそうだが、財団発足と資金の拠出後、少女像問題に対する韓国政府の動きを注視するとみられる。しかし韓国政府は、少女像は民間が自発的に設置したもので撤去問題に口出しできないとの姿勢だ。
韓日合意には両国政府が協力して事業を行うという内容が盛り込まれているため、財団の事業の方向性をめぐり韓日間で摩擦が生じる恐れもある。
韓国政府に登録された慰安婦被害者は238人、このうち生存者は昨年末の合意時点で46人だったが、現在は42人に減っている。