2015.09.23
【パンドラの箱】フラリッシュの危険性を冷静に考える
暑さが落ち着いて季節が秋めいた頃からどうにも左手の調子が悪いです。
しばしば親指の付け根がピリピリと痛み始め最終的にはコイン一枚ももてなくなってしまいました。
指の調子が悪いときというのはそうそう珍しいことではありません。
マウスで右手が腱鞘炎気味になることは年に数回はあります。
普段から一日2~3時間程度、毎日トランプかコインを弄って何かしらの技法をだらだら練習しています。
外に出るときも何もすることが無いときもとりあえずデックをぱたぱたさせていました。
珍しく整形外科へ行きレントゲンを撮り電気をかけて。
ロキソニンを処方され患部に塗ってやると3日程度で症状が引きます。
痛みが引いている間にまたトランプやらコインを弄ってしまいまた症状を悪化させてをここ最近繰り返してきました。
するとどうでしょう、親指をかばうような生活をしていたら今度は左手中指と薬指の曲げ伸ばしが上手くいきません。
親指の腱鞘炎と共に中指と薬指のばね指も発症してしまったようです。
数ある職種の中でも最も指が器用できれいな人たちはピアニストだと勝手に思っていますが
マジシャンやフラリッシャーと言った人種も負けず劣らずでは無いのかなと思います。
数あるクラシック音楽の中でも屈指の難易度を誇るパガニーニのラ・カンパネラ
楽譜が満足に読めない人が楽譜を見てもその難易度は何となく察しがつくような曲で
Youtubeなどで実際に弾いている様子を見ると人間業ではありません。
頭と指を砕くような曲です。
2000年代、Youtubeの登場からフラリッシュ文化は大きく花開きました。
多くのマジシャンがカードフラリッシュを積極的に取り入れるようになり
フラリッシャーなる専門の人種すら生まれるようになりました。
競技人口が増しただけでなく、新たな技法が次々と生まれフラリッシュの難易度は年々じりじりと上がっていっているようです。
現在ではフラリッシュの中でも最高難易度とも言われていたD&DのPandoraすらもぬるいレベルです。
そんな感覚でここ2年ほどPandoraを集中的に練習していました。
ザ・トリロジー発売から8年でしょうか。さすがに5年以上もPandoraと向き合っていると
適当な練習であってもそれなりの形ができました。
パガニーニのラ・カンパネラにあるような不思議な魅力
プロからアマチュアまで数多くのピアニストが挑戦して挫折を強いられた曲。
どこかしら最高難易度のフラリッシュに通じるところがあります。
もともと52枚のカードを複雑に操れるような人種は限られていてるようで、
何の訓練もしていない普通の人が陸上の長距離をいきなり走ったら膝やら何やらが壊れるのと同じです。
不思議な誘惑に満ちたフラリッシュではありますが、最近のフラリッシュは
もう遠の昔に人間の身体が耐えられるレベルを超えてしまっていると感じます。
フラリッシャーは本当にパンドラの箱を開けてしまったのでは無いかと思うのです。
それでもなぜかやってしまうのは人間の性なのでしょう。
超絶技法と指の故障といえば故マーカテンドー氏です。
カードロールダウンで有名な人です。
ただ、練習のしすぎで手を痛めてしまい医者にロールダウンをみせると
人のやれることでは無いと言われたのだとか。
過ぎたるは及ばざるがごとし
なんにしても多くのフラリッシュやマジックの技法は人体の構造が追いついていません。
最近のスライトはコインでもカードでも常識を逸しています。
同じ技法を長期間にわたって集中的に練習するのは一部の関節や筋肉に負担がかかりすぎ危険なのかも知れません。
休肝日のような指の休みが必要だと思います。
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