リクルート事件・江副浩正の真実 (中公新書ラクレ)
今週のアゴラ経済塾「失敗の研究」のテーマは、リクルート。あの事件は企業経営の失敗というより江副の失敗であり、検察とマスコミの失敗でもある。本書はあくまでも江副の立場からみた「真実」で、かなり正直に書いているが、バイアスもある。

リクルート事件の発端になった川崎の事件にはさらりとしかふれていないが、かなり賄賂性の強いものだった。川崎市の再開発事業でリクルートがビルを建てるとき、当時の小松助役がリクルートコスモスの未公開株3000株を譲渡され、それを公開直後に売って1億2000万円の売却益を得たのだ。

神奈川県警がこの事実をつかんで捜査していたが、結果的には立件しなかった。しかし朝日新聞だけが、横浜支局の山本博デスクの判断で1988年6月に報道した。警察があきらめた事件を報道するのは珍しく、かなりの冒険だった。

私も事件の初期に少し取材にかかわったが、当初はローカルな汚職事件で、あそこまで大事件に発展するとは思わなかった。しかしあれは本当にそんな大疑獄事件だったのだろうか。

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