2016.5.31 10:01

北朝鮮が「ムスダン発射」再び失敗か…4回目「エンジンに根本的な欠陥」

北朝鮮が「ムスダン発射」再び失敗か…4回目「エンジンに根本的な欠陥」

2015年10月、平壌で行われた軍事パレードに姿を見せた北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(共同)

2015年10月、平壌で行われた軍事パレードに姿を見せた北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(共同)【拡大】

 【ソウル=藤本欣也】韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は31日午前5時20分(日本時間同)ごろ、日本海に面した東部元山(ウォンサン)付近から弾道ミサイル1発の発射を試みたが、失敗したもようだ。合同参謀本部は新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」(射程2500~4000キロ)とみている。北朝鮮によるムスダンの試射は4発目で、すべて失敗している。

 中谷元・防衛相は30日、北朝鮮によるミサイル発射の兆候を受け、自衛隊に破壊措置命令を出していた。

 北朝鮮がミサイルを発射するのは今月6~9日に行われた朝鮮労働党大会後初めて。党大会終了後、北朝鮮当局は韓国に対話の再開を呼びかけているものの、韓国は「北朝鮮の核放棄が先だ」として拒否。これに反発した北朝鮮が再び、ミサイル発射などで軍事的挑発を強めていく可能性もある。

 合同参謀本部は31日、「軍は関連の動向を注視しながら万全の態勢を維持している」と表明した。

 北朝鮮は金日成(キム・イルソン)主席生誕記念日の4月15日に初めてムスダンを試射したものの発射直後に空中爆発したほか、同28日にもムスダンの発射を2回試みたがいずれも失敗している。ムスダンはロシア製の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を改良したもので、聯合ニュースは「エンジンに根本的な欠陥がある」との見方を伝えた。

 韓国軍は、北朝鮮がミサイルの追加発射や核実験などを強行する可能性もあるとみて、警戒・監視を続けている。

 日本全域のほか米グアムも射程に収めるムスダンは移動式弾道ミサイルで、発射の位置や兆候を事前に把握するのが困難とされる。北朝鮮は発射実験を行わないまま、2007年に実戦配備したとみられている。(産経新聞)