NHKニュース7 2016.05.27


アメリカの現職大統領として、初めて被爆地、広島を訪問しました。
こんばんは。
ニュース7です。
今夜は、時間を1時間に延長して、お伝えしてまいります。
71年前、世界で初めて原子爆弾が使われた広島。
投下したのはアメリカです。
そのアメリカのオバマ大統領が、現職の大統領として初めて広島市の平和公園を訪れました。
オバマ大統領は、およそ30万人の原爆死没者名簿が納められた、原爆慰霊碑に献花したあと、われわれは核兵器のない世界を追い求めなければならないと述べ、核兵器の廃絶に向けて取り組む決意を示しました。
歴史的な訪問の日。
平和公園では、ものものしい警備が敷かれ、正午から立ち入りが制限されました。
その後も警察官などが、念入りに安全を確認。
オバマ大統領の到着に備えました。
平和公園の前の通りには、大勢の人の姿が。
そして午後5時半ごろ。
原爆投下から71年。
初めてアメリカの現職の大統領が、平和公園に立ちました。
オバマ大統領は安倍総理大臣と共に、原爆資料館を視察しました。
その後、オバマ大統領は原爆慰霊碑へ。
29万7000人余りの原爆死没者名簿が納められた慰霊碑に花を手向け、目を閉じました。
その場に被爆者も立ち会いました。
そして核兵器のない世界への決意を表明しました。
その後、被爆者に歩み寄ったオバマ大統領。
被爆者の一人が涙ぐむと、抱き寄せ、ことばを交わしました。
そして原爆ドームを視察し、説明を受けました。
オバマ大統領とことばを交わした被爆者の人たち。
アメリカ大統領の広島訪問が、長年の念願でした。
きょうの訪問に立ち会った坪井直さん91歳。
日本被団協の代表委員です。
20歳のときに被爆し、40日間、意識不明となった坪井さん。
原爆の恐ろしさを語り続け、オバマ大統領の就任当初から、広島への訪問を求めていました。
オバマ大統領とことばを交わした際、原爆投下は人類の誤りだ。
未来志向で、核兵器のない世界を作りましょうと伝えたということです。
オバマ大統領とことばを交わしたもう一人、森重昭さん79歳。
広島の被爆者で、原爆で亡くなったアメリカ兵の捕虜を追悼する活動を続けてきました。
オバマ大統領の広島訪問を、人々はどう受け止めたのでしょうか。
平和公園の近くまで足を運んだ、被爆者の森下弘さん。
流れてくるオバマ大統領のことばに聞き入りました。
18歳のとき被爆した、阿部静子さんです。
自宅のテレビの前で、大統領を見つめました。
長崎の被爆者も、テレビで見守りました。
下平作江さんです。
広島市の平和公園には、政治部の太田記者がいます。
太田さん、今回のオバマ大統領の広島訪問の実現、日本政府はどのように受け止めているんでしょうか?
政府は、オバマ大統領が主張してきた核兵器のない世界の実現に弾みをつけるきっかけになるものだと歓迎しています。
安倍総理大臣は、オバマ大統領に続いて、オバマ大統領の決断と勇気に対して、心から敬意を表したいと述べたうえで、核兵器のない世界の実現に向けて、道のりがいかに長く、いかに困難なものであろうとも、絶え間なく努力を積み重ねていくことが、今を生きる私たちの責任だと訴えました。
アメリカ国内では、原爆投下は、戦争の早期終結に必要だったと、正当化する意見が根強くあります。
これを踏まえ、政府は、オバマ大統領が自然な形で、みずから訪問を決断できるよう、環境を整えてきました。
この結果、歴史的ともいえるアメリカ大統領の広島訪問が実現したことは、核兵器のない世界を目指す日米両政府の姿勢を国際社会に訴える、力強いメッセージになると受け止めています。
安倍総理大臣は、戦後71年を迎え、唯一の核兵器使用国と戦争被爆国のリーダーが、そろってすべての犠牲者に哀悼の意を示すことで、両国の戦後の区切りとしたいとして、日米同盟の強固な姿を世界に向けて発信したいとしています。
オバマ大統領が、現職のアメリカ大統領として、初めて被爆地訪問に至る歩みです。
今から70年余り前、世界で初めて原爆が投下された広島。
アメリカでは、原爆投下について、戦争を早期に終結させ、多くのアメリカ兵の命を救ったなどとして、正当化する意見が根強くあります。
日本政府は、各国の政治指導者らに、広島・長崎への訪問を呼びかけてきましたが、アメリカに対しては、こうした世論を踏まえ、直接の働きかけを控えていました。
2009年に就任したオバマ大統領。
核兵器のない世界というスローガンを掲げ、その年のノーベル平和賞を受賞しました。
当時から、広島・長崎への訪問に前向きな姿勢を示しました。
そしてことし。
オバマ大統領の就任後、初めて日本がG7の議長国となり、先月、外相会合を広島で開催。
ケリー国務長官が、現職の閣僚として初めて平和公園を訪れました。
アメリカ政府は、国内の世論を慎重に見極めましたが、反発は少なかったとして、今回、現職の大統領として、初めての訪問につながったと見られます。
オバマ大統領の広島訪問について、各国の反応です。
中国の王毅外相は、報道陣に対して、次のように述べました。
これは、旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる、南京事件を引き合いに出すことで、日本は第2次世界大戦の加害国だと強調するねらいがありそうです。
また韓国の通信社、連合ニュースは、オバマ大統領の平和公園での所感を速報で伝えました。
この中で、オバマ大統領が所感で、韓国人の原爆犠牲者に言及したと、オバマ大統領が、原爆によって被害を受けた朝鮮半島出身者についても、言及したことを伝えました。
韓国国内では、広島への原爆投下で、朝鮮半島出身のおよそ3万人が犠牲になったと見られていることから、オバマ大統領が、平和公園にある、韓国人原爆犠牲者慰霊碑にも訪れるかなど、朝鮮半島出身者の被害について、どのように触れるか注目が集まっていました。
広島市の平和公園には、ワシントン支局の田中支局長がいます。
田中さん、オバマ大統領、核なき世界への決意を表明しましたが、表現は非常に慎重だったという印象を持ちました。
これはどんなメッセージだったといえるんでしょうか?
被爆地の広島から、戦争の悲惨さと核廃絶を訴えるメッセージとなりました。
17分間の所感で、オバマ大統領が強調しましたのは、原爆によって広島、そして長崎で大勢の市民が犠牲になったことへの追悼です。
さらに戦争の巻き添えとなり、犠牲になるのは罪のない市民であること。
戦争の惨禍を避けるには、話し合いを重視すべきだと強調しました。
そこには大統領に就いてからこれまで7年間に、アメリカと対立してきたイランやキューバなどと、対話によって新たな関係を築いてきた、みずからの外交姿勢への信念があります。
さらにみずから訴え続けてきた核兵器のない世界について、実現には長い時間がかかるが、追い求めていく勇気を持ち、たゆまず努力をしていく必要があると強調しました。
このオバマ大統領の広島訪問は、世界の核軍縮の動きには、影響を与えることになるんでしょうか?
7年前の大統領就任の年に、演説で、核兵器のない世界を訴え、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領は、NHKとのインタビューで、みずから大統領職にあるこれまで7年間の核軍縮の動きについて、進展は僅かだったと述べています。
核軍縮に向けた動きは、アメリカとロシアの対立で、遅々として進んでいません。
まずアメリカ政府は、国際社会を主導する必要がありますが、オバマ大統領が就任してから去年までの7年間に、アメリカが削減した核兵器の数は合わせて700発余り。
冷戦終結後のアメリカの歴代政権の中で、最も低い水準という現実もあります。
アメリカには核兵器を使用したことのある唯一の核保有国として、道義的な責任があるとするオバマ大統領。
オバマ大統領としては、アメリカの現職大統領が、これまで踏み切ることのなかった、歴史的ともいえる広島訪問で、核兵器のない世界に向けて、国際的な機運を少しでも盛り上げたい考えです。
ただオバマ大統領の任期はあと8か月。
残された任期は決して多くありません。
オバマ大統領が広島で新たにした核廃絶への思いが、次の政権に引き継がれていくのか、核兵器のない世界の行方はそこにかかっています。
そして、NHK広島放送局のスタジオには、日本被団協・日本原水爆被害者団体協議会の全国理事を務める、箕牧智之さんにも来ていただいています。
箕牧さんは3歳のときに広島で被爆しました。
きょうは平和公園で、オバマ大統領の訪問を見守りました。
箕牧さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
オバマ大統領、広島訪問を終えました。
今、率直にどんなお気持ちでいらっしゃいますか?
私たちは5月の初めに、広島へオバマ大統領、来られるのが決まりまして、私の胸の中はね、風船がいっぱい膨らんだというような気持ちでおりました。
終わった今は、どんなお気持ちなんでしょうか?
オバマ大統領のスピーチは、メッセージは短めだというふうに聞いておったんですけども、きょうは長いという感じでしたね。
同じ長いんだったら、被爆者をね、平和公園の中に相当数集めていただいて、演説していただきたかったなと思いました。
そのスピーチの内容について、お聞きになった印象はどうでしたか?
英語で話されて、即通訳の日本語の話にならなかったんで、私もよく聞き取れなかったんですが、あとでいろいろ教えてもらうのに、なんとなくこう、どこをつかんだらいいのか、どういうふうに感じたらいいのか、分かりにくいようなスピーチに見えたんですよね。
前回のケリー長官のときにはね、はっきりよく分かりました。
ただ中身では、われわれは命を奪われた、罪のない人々がいたことを忘れてはならないと、原爆や戦争で命を奪われた人へ思いをはせるということばもありましたが、どのようにお聞きになりましたか?
一つ一つのことばはね、確かにそういうふうに感じるものがありました。
やはり小さな子どもからね、女性、大人、老若男女、みんないっぺんに焼き尽くされたんですから、それはそれは甚大な被害に遭ったということですから、オバマさんが一つ一つお話をされる中、一つ一つの話では、分かるものがありました。
一方で、原爆投下について明確な謝罪は、やはりしませんでしたけれども、これについてはどう受け止めていらっしゃいますか?
広島県民、広島市民、被爆者の皆さんはね、謝罪について、いろいろと議論があったんですよね。
謝罪をせよと、謝罪を求めないとかいうことがありましたが、やはり年齢の差、あるいは…、体内被曝と、いろいろ条件も違います。
そして、身内にどれだけの被爆犠牲者が出たかというような過程によっても違いますし、さらに71年ももう経過し、過ぎ去ったことも、要因の一つではなかったかと思いますが、謝罪は求めないと、それを乗り越えて、核兵器の廃絶、核絶対悪だというような考えの人が多かったんじゃないかと思います。
オバマ大統領、坪井直さんら、被爆者の方々ともことばを交わしてらっしゃいましたけれども、この光景はどのようにご覧になりましたか?
遠くから見てね、立っておられる方もおられたんで、実際、オバマさんが坪井さんやら、森重さん方と会話されるところが見えなかったんですよね、私は。
どういうふうにされたのかいうのを、今度あとでね、テレビ、新聞で見たいと思っておりますが。
ただことばを交わすことについては、やはりどうなんでしょう、意義はお感じですか?
それはやはり、世界の大統領、世界のリーダーが広島へ来られてね、被爆者と握手を交わされたりするということは、広島の歴史上、なかったことだと思うんですよね。
悪いことではなかったと思いますよ。
今後、オバマ大統領はじめ、各国の首脳に期待されることをひと言だけお願いいたします。
核兵器の廃絶をオバマさんはやっぱり、アメリカを先頭に核兵器の廃絶を進めていただきたい。
そして、核兵器を持っている大きな国をね、訴えて、核兵器廃絶に協力願いたいというのが、私たち被爆者の願いです。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
では再び、平和公園にいる政治部の太田記者です。
太田さん、オバマ大統領の広島訪問、実現したわけですけれども、この核軍縮に向けた日米両国の連携は、今後進みそうでしょうか?
残念ながら、今回の訪問をもって、核軍縮が直ちに進展するという見通しはありません。
核軍縮に向けた国際的な取り組みは、非核保有国の多くが核兵器の法的な禁止を主張しているのに対し、核保有国がこれに反対し、鋭く対立しています。
核兵器のない世界を目指してきたオバマ大統領自身も、ロシアとの関係悪化などの影響で、主導権を発揮するのが難しい状況です。
日本政府としては、国際的な核軍縮や、不拡散の議論を主導して、具体的で実践的な結果を出すため、核保有国と非核保有国の強力を広げる、橋渡しの役を果たしたい考えです。
しかし、その日本も、アメリカの核の傘の下で、平和と安全の維持を図っているという側面もあります。
日米両政府は、今回の歴史的な広島訪問を、一過性のものとせず、国際世論を盛り上げ、核軍縮を進展させる機運を高めていく必要があり、安倍総理大臣には、唯一の戦争被爆国のリーダーとして、一層積極的な取り組みが求められます。
現職のアメリカ大統領として初めて被爆地、広島を訪問したオバマ大統領は、大統領専用機、エアフォース・ワンに乗り込み、先ほど午後7時15分ごろ、山口県のアメリカ軍岩国基地を出発し、帰国の途に就きました。
オバマ大統領は先ほど帰国の途に就きました。
そのオバマ大統領の広島訪問に先立って、8年ぶりに日本で開催された伊勢志摩サミット。
最終日のきょうは、東南アジアなどの7か国の首脳と、5つの国際機関の代表らも参加した、拡大会合も行われました。
G7各国は、世界経済を支えるため、状況に応じて財政出動など、政策を総動員していくなどとした首脳宣言を発表しました。
また安倍総理大臣は会見で、来年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて、再延期する考えをにじませたうえで、夏の参議院選挙の前に判断すると述べました。
サミット2日目を迎えた、三重県志摩市の賢島です。
警戒は海上からも続けられました。
午前9時前、G7の首脳たちがホテルの会場に集まりました。
くつろいだ雰囲気だったんでしょうか、ジャケットを脱いだ首脳も。
5つ目のセッション、気候変動、エネルギーの討議が始まりました。
きょうは日本政府が、東南アジアなどの7か国の首脳と5つの国際機関の代表を招待。
拡大会合が行われ、世界の経済成長をけん引する、アジアの繁栄の在り方などを巡って、意見を交わしました。
そして写真撮影の時間。
首脳たちが次々に集まってきましたが。
安倍総理大臣の隣が空いたままです。
皆が待ったのは、アメリカのオバマ大統領。
その間に首脳たちは立ち話です。
オバマ大統領がやって来て撮影は終わりました。
そして午後2時。
議長を務めた安倍総理大臣が記者会見を行い、G7伊勢志摩サミットは閉幕しました。
サミットが終わり、地元の人は。
賢島に近い、こちらの理髪店。
サミットにちなんで客にPRしたのが、サミットヘアです。
ただ、実際に利用したのは2人だけだということです。
各国首脳の専用機がずらりと並んだ、愛知県の中部空港。
カメラや双眼鏡を持った人が続々と訪れました。
一連の日程を終えた首脳たち。
日本を後にしました。
そしてサミットの討議成果などを盛り込んで発表されたのが、G7伊勢志摩首脳宣言です。
テーマは、ご覧のように多岐にわたっています。
まず最大のテーマとなった世界経済の現状についてです。
世界経済の回復は続いているが、成長は引き続き、緩やかでばらつきがあり、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきていると指摘しています。
その上で、新たな危機に陥ることを回避するため、すべての政策対応を行うことにより、現在の経済状況に対応するための努力を強化するとしています。
そして政策的対応として、すべての政策手段、金融・財政・構造政策を個別に、また総合的に用いるとしています。
日本はサミットの前、持続的な経済成長に向けて、財政出動も含めた政策協調を打ち出すことを目指していました。
しかし、ドイツやイギリスなど財政規律を重んじる国からは、財政出動に対し、サミットの前から慎重な姿勢が示されていました。
今回、この個別に、また総合的に用いるとしていますが、どの政策をどの程度実施するのかは、各国の実情に委ねるようにするもので、意見の違いに配慮しながらまとめた形となっています。
続いて、海洋安全保障についてです。
海洋進出の動きを強めている中国を念頭に、緊張を高める一方的な行動の自生や紛争解決には、仲裁手続きを含む、平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認すると指摘したうえで、東シナ海や南シナ海における状況を懸念し、紛争の平和的解決の根本的な重要性を強調するとして、懸念を表明しています。
そして、北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射については。
最も強い表現で非難するとして、北朝鮮に対し、今後いかなる挑発行動も行わないよう要求しています。
そして国際社会に対し、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議を、完全に履行するよう呼びかけています。
また拉致問題について、北朝鮮に直ちに対処するよう強く求めています。
宣言では、いわゆるパナマ文書の問題をきっかけに注目が集まった、不正な課税逃れの対応についても触れています。
首脳宣言では、OECD・経済協力開発機構が取り組んでいる、課税逃れを防ぐための国際的なルール作りを評価したうえで、G7が率先して取り組み、主導していくとしています。
また脱税や課税逃れの防止のために、各国の税務当局が定期的に、金融機関の口座情報を提供し合う取り組みを強化するとともに、マネーロンダリングなどに利用されるペーパーカンパニーの所有者が誰かを、当局が把握できるようにする方法を検討していくことを確認したとしています。
安倍総理大臣は、G7伊勢志摩サミットの閉幕にあたって、記者会見しました。
この中で安倍総理大臣は、今回のサミットで最大のテーマと位置づけていた、世界経済について、次のように述べました。
一方、弾道ミサイルの発射など、挑発行動を繰り返す北朝鮮については。
また中国が海洋進出を活発化させていることを念頭に、一方的な行動は許されず、司法手続きを含む平和的な手段を追求すべきであり、その完全な履行を求めていくことで一致したと述べました。
サミットに出席した各国の首脳も会見しました。
フランスのオランド大統領。
今回のサミットで採択された、テロに対する具体策をまとめた行動計画を評価したうえで、世界各国が連携して実行する必要があるという認識を示しました。
また、EUへの残留を訴えている、イギリスのキャメロン首相は。
このように述べて、G7各国の首脳と、認識を共有できたことを評価。
EUと日本のEPA・経済連携協定の交渉にも影響を及ぼしかねないなどと懸念を示し、国民投票に向けて、EU残留を訴えていく考えを強調しました。
一方、参加国ではない中国。
首脳宣言で、海洋進出の動きを強めている中国を念頭に懸念を示したことについて、強い不満を表明しました。
ではサミットの取材に当たっている政治部の山崎記者に聞きます。
山崎さん、安倍総理大臣は世界経済について会見で、G7で協調して、金融政策、財政政策、構造政策を進めるなど、いわゆる3本の矢を放っていくことで合意したと述べました。
これは政府のねらいどおりの成果を挙げたといえるんでしょうか?
必ずしもねらいどおりだったとは言えないというのが、率直な感想です。
と言いますのも、3本の矢の政策を進める決意は、これまでほかの国際会議でも打ち出されていたものだからなんです。
むしろ政府は当初、財政出動に重点を置いた形で政策協調を打ち出せないか、調整を続けてきました。
しかし、政府関係者によりますと、財政規律を重視するドイツなどが、慎重な姿勢を崩さなかったため、代わって、世界経済の現状に対する強い危機感を共有することを重視する方針に転換したということです。
ただ、この現状認識についても、クライシス・危機ということばを、どういう文脈で盛り込むかを巡って、調整が難航しまして、首脳宣言の表現が最終的に固まったのはきょうに入ってからでした。
別の政府関係者は、私の取材に対しまして、見方によっては、新しさを感じないかもしれないが、G7の首脳レベルで難しい調整をまとめ、国際社会に向けメッセージを発信したこと自体が成果だと話していました。
山崎記者には、また後ほど聞きます。
きょうの安倍総理大臣の会見で、もう一つ注目されるのが、来年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げを巡る発言です。
安倍総理大臣は、引き上げを再延期する考えをにじませたうえで、夏の参議院選挙の前に判断すると述べました。
自民党の二階総務会長は、引き上げの是非について次のように述べました。
また、二階氏は、消費税率の引き上げを2年延期すべきだという考えを重ねて示しました。
公明党の井上幹事長は。
一方、民進党の岡田代表は。
今回のサミットで、安倍総理大臣は、世界経済の現状について、データを示しながら、リーマンショックの前と似た状況だという認識を示しました。
この発言をどう見るか。
サミットの評価も含め、専門家に聞きました。
では再び政治部の山崎記者に聞きます。
山崎さん、サミットの首脳宣言では、世界経済の現状について、下方リスクが高まってきているとしています。
安倍総理大臣の消費税率引き上げを巡る判断、どうなりそうでしょうか?
先ほどのVTRの中にもありましたが、安倍総理大臣は記者会見で、サミットの結果を踏まえて、消費税率の引き上げを再延期する考えをにじませました。
また記者団が延期した場合、アベノミクスの破綻だとの批判も出るのではないかと質問したのに対しまして、安倍総理大臣は、アベノミクスは失敗していないと断言し、サミットでの合意について、大変重いもので、議長国として日本は、率先して世界経済の成長に貢献していく考えだと述べました。
政府関係者の中には、消費税率引き上げの延期に、G7各国からいわばお墨付きを得ることができたと話す人もいまして、政府内では、安倍総理大臣が再延期を決断するという見方がさらに強まっています。
ただ、安倍総理大臣はこれまで、リーマンショックや大震災級のことが起きないかぎり、予定どおり消費税率を引き上げると繰り返してきただけに、仮に安倍総理大臣が再延期を決めた場合、野党などから厳しい批判の声が集まることも予想されます。
ここまで、きょう閉幕した伊勢志摩サミットについてお伝えしました。
では次です。
そのサミットの開催で、テロへの厳戒態勢が取られていた羽田空港で、離陸しようとしていた大韓航空機のエンジン部分から火が出て、乗客・乗員300人余りが全員、緊急脱出しました。
12人が足を打つなどのけがをして、病院に運ばれました。
羽田空港は一時、すべての滑走路が使用できなくなり、空の便は大きく乱れました。
トラブルのあった航空機内の映像です。
ドア付近には次々と乗客が。
どっち?あっ、こっちだめだ。
いこ、いこ、いこ。
外では消火活動が行われています。
午後0時38分ごろ、羽田空港のC滑走路で、ソウルのキンポ空港行き、大韓航空2708便が離陸しようとしたときでした。
左側のエンジン部分から火が出ました。
機内には乗客302人、乗員17人の合わせて319人。
全員シューターを使って緊急脱出しました。
その後、いったん滑走路脇の芝生に逃げたあと、バスで国際線ターミナルに向かいました。
火は午後2時過ぎに消し止められました。
東京消防庁によりますと、19人が気分が悪いなどと訴え、このうち26歳から74歳までの男女12人がけがをして、病院に運ばれました。
シューターから脱出する際に、足を打つなどしたということです。
航空会社側の誘導について、乗客からは。
この事故で羽田空港では、一時、すべての便が発着できなくなりました。
午後6時半前に、すべての滑走路の運用が再開されましたが、国内の空の便は、406便が欠航し、およそ7万6000人に影響が出ました。
大韓航空の担当者は。
今回のトラブルについて専門家は。
その上で、早い段階でなんらかの異常が起きたのではないかとして、次のように分析しました。
国の運輸安全委員会の調査で、出火した左エンジンの外側を覆うケースが壊れ、内部の部品が外に飛び出し、周囲に散乱していたことが分かりました。
今後、フライトレコーダーを分析したり、パイロットらから話を聴いたりするなどして、トラブルの原因を調べることにしています。
ここまでお伝えしてきたニュース、こちらです。
続いては。
女子大学生が刺された事件前、男について3件の相談が寄せられていました。
東京・小金井市で、女子大学生が刃物で刺された事件で、逮捕された岩埼友宏容疑者から、ブログなどに執ような書き込みをされているという相談は、東京と滋賀県の警察に3件寄せられていました。
3年前、女性タレントのブログに、岩埼容疑者から、危害を加えるような内容の書き込みがされるようになりました。
秋葉原で行う予定だったイベントが中止になり、相談を受けた都内の警察署が捜査しました。
しかし、警視庁のシステムには、岩埼容疑者の名前は登録されず、警視庁の調査に対し、警察署の当時の担当者が、名前の登録を忘れたという趣旨の説明をしていることが分かりました。
去年12月には、滋賀県に住む女性が、岩埼容疑者から嫌がらせを受けていると滋賀県警察本部に電話で相談。
警察は、相談内容と岩埼容疑者の名前を、全国の警察が検索できるシステムに登録したということです。
そして今月、今回の事件の被害者の女子大学生本人も、警察署に相談していましたが、結果的に事件を防ぐことはできませんでした。
一連の熊本地震で、被災した人が仮設住宅に入居できる条件が緩和されることになりました。
これまでは災害救助法に基づいて、自宅の被害の程度が全壊、または大規模半壊の場合に限られていましたが、内閣府が、より被害の程度が小さい半壊でも、住み続けることが困難で、解体や撤去せざるをえない場合には、入居できるとする内容を、熊本県に通知しました。
熊本県災害対策本部によりますと、県内で半壊と認定された住宅は、1万9319棟と、全壊の8419棟の2.3倍に上っています。
2020年東京オリンピックの準備状況を確認するため、来日中のIOC・国際オリンピック委員会のコーツ調整委員長が、セーリングの競技会場を視察しました。
東京大会の準備状況を確認する会議のために来日中の、コーツ調整委員長。
最終日のきょう訪れたのは、神奈川県の江の島。
2020年の東京大会のセーリングの競技会場です。
江の島のヨットハーバーでは、神奈川県の黒岩祐治知事などが、コーツ調整委員長たちを案内しました。
江の島は1964年の東京オリンピックでも、セーリングの競技会場になっていて、黒岩知事は、みずから地図や模型を示しながら、オリンピックを契機に、島と対岸を結ぶ道路や港が整備されたことなどを説明し、コーツ調整委員長は高い評価を示しました。
プロ野球は5試合。
ロッテは涌井が先発。
リーグトップに並ぶ6勝目を目指します。
日本ハムが、中田のホームランで勝ち越しました。
5連敗中の巨人の先発は、エースの菅野です。
気象情報は福岡さんです。
こんばんは。
この土日は、西から天気が崩れそうです。
あすは高気圧に覆われて晴れる所が多くなりそうなんですが、西から近づく前線の影響で、雨の降る所が出てきます。
さらに日曜日になりますと、前線が東へと延びてきますので、雨の範囲が東へと広がります。
湿った空気が流れ込んで、雨の強まる所もありそうです。
雨はどの辺りで、特に降りそうなんですか?
雨の予想を見ていきましょう。
あす、雨が降るのは、九州が中心となりそうなんですね。
ただ、日曜日になりますと、雨の範囲が次第に東へと広がりまして、西日本でも広く雨が降る予想となっています。
太平洋側を中心に、雨足が強まりそうです。
夜になると、東日本でも雨が降る予想となっています。
そしてこの土日は気温が高くなります。
日ざしが戻る東京は、土曜日、日曜日と25度を上回る夏日が続く予想となっています。
お伝えしていますように、アメリカのオバマ大統領はきょう午後、現職の大統領として初めて、被爆地、広島を訪問しました。
平和公園を訪れて、被爆者の人たちを前に、戦争のすべての犠牲者に哀悼の意を示すとともに、核兵器の廃絶に向けて取り組む決意を示しました。
現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問したオバマ大統領。
原爆資料館で被爆の実相を伝える展示を10分程度見学したあと、ゆっくりと原爆慰霊碑に向かって歩き、献花しました。
このあと、オバマ大統領は被爆者とことばを交わしました。
オバマ大統領は、午後7時15分ごろ、山口県のアメリカ軍岩国基地を出発し、帰国の途に就きました。
今夜のニュース7は、この時間までこのような項目をお伝えしてまいりました。
2016/05/27(金) 19:00〜20:00
NHK総合1・神戸
NHKニュース7[二][字]

▼オバマ大統領広島へ 現職大統領の訪問は初▼「核兵器なき世界」へ何を語る▼被爆者との対話は▼伊勢志摩サミット閉幕

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【キャスター】武田真一,【サブキャスター】池田伸子,【気象キャスター】福岡良子

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