2016-05-31
鎖―この偉大なる発明と、それの「武器化」について考える(※序説のみ)
先に書かれてがっかりの話。「フレイル」(ガンダムハンマー)は実在したか?
作家・夢枕獏は「ぼくはもう、一生小説のネタに困らないと宣言する。頭の中にある物語を書くだけで、寿命が足りないのだ」と語ったことは有名だが、当「見えない道場本舗」のネタも、そこには質量でもちろん及ばないが、かるくそれに近い。
執筆のペースは遅くなる一方、書きたいことは減るどころか増える一方でね…脳内の「機会があれば書くよファイル」も満杯で、自然に忘れてるのも含めて(笑)、ちょっと惜しい。
そうやっていると、たまには先に書かれているのを目にすることもあるわけで、以下のtogetterまとめがまさにそれでした。
フレイルという武器は実在していたか - Togetterまとめ http://togetter.com/li/980848
中世の武器で、鎖の先にトゲトゲの鉄球がついてて、振り回して敵にトゲトゲ鉄球をブチ当てる「フレイル」っていうのがあるんだけど、実はあれは実在してなかった、後代の想像の産物で、博物館にあるのも後世の模索というか創作、というエッセイ。 https://t.co/nDL3s4dv7x
— 岡部いさく (@Mossie633) 2016年5月27日The Curious Case of the Weapon that Didn’t Exist: The Medieval Flail https://t.co/MXbCCWtKrU
— Peter Campbell (@peterbcampbell) 2016年5月27日両手持ちのフレイル:Flailは中世末期に実際に農民反乱で多数使用されてますし、専用の戦闘マニュアルが載っておりますえ。例えばドイツのArte De Athleticaとか。これはその挿絵。 pic.twitter.com/LiGwMGq4qb
— 私はケントゥリオP。4000デナリウス。 (@centurio_P) 2016年5月27日
ここでは「フレイル」とか「モーニングスター」という言葉が使われているけど、僕の中では名称としては「ガンダムハンマー」なんだよね。
実際に番組に登場したかも覚えていないけど。
また、これが実にカッコ悪い武器で・・・と書こうとしたら、あれ? かっこいいぞ!!!!
巨大なハイパー・ハンマー。トゲトゲのスパイク部分もガンダム・ハンマー以上の強力さを表現しています。
http://www.hkml.net/Discuz/viewthread.php?action=printable&tid=134099
いやこれはたぶんフィクション的改造で…だいたい、これが定説だろう。
ガンダムハンマーとは、ガンダムが振り回す特大の鎖つきトゲ鉄球という漢武器である。 あまりに漢過ぎてアムロ・レイには似合わないほどである。 色んな意味で痛い武器である。ちなみにどたまカチ割りトゲボールという別名がある。
なぜ開発に至ったのかは、以下の3つの説がある。
テム・レイ原因説
アムロ・レイの父親であるテム・レイがジャブローの開発室でガンダムを開発した際に作成したという説である。 テム氏の素っ頓狂な性格から考えると、確かにこのようなトンデモ兵器を開発したのもうなずける。 おそらくこの計画を上層部に提出したときは皆引きつった笑顔になったことであろう。
この説をもとに作られたのが後述のwiiゲーム『SDガンダム スカッドハンマーズ』である。
横槍説
何者かがテム氏に開発を命令、もしくは持ちかけたという説。 このような人物が居るならそいつはジオン軍のスパイではないかと思いたい(または趣味と仕事を履き違えたアホ……もとい風流者か)。
むしろ大人の事情説
現在では本編とのギャップが(一部で)伝説となったガンダムデラックス合体セットの発売元で、当時番組の玩具スポンサーだったクローバーが、禿に依頼したという説(後略)
そもそも、「ガンダムハンマー」が失笑の対象であるのは「ロボットの武器とするにはあまりに必然性や合理性がない」ということもあるけど、そもそもこの「トゲの鉄球に鎖をつけ、振り回して叩く」というのが武器としてうーん…? なゆえんではないでしょうか。そこから語ります。
だが、その前に!!!!
「鎖」っていうアイデア、この発想の飛躍はすごい!!!!誰が考えた?いつごろできた?神話の時代から……
まず、フレイル(ガンダムハンマー)について語る前に「鎖」そのものについて語りたい。というか、鎖についてのリスペクトが、お前ら、マジ足んねーよ。
いいか、
まず縄、ロープ、ひもがある。巻く、縛る、伸ばす…とても使い勝手がいい、便利などうぐ。だが、植物繊維や動物の皮で作っているから、強度が足りない。切れやすい。いまどきのゆとりで野菜不足な中学生なみにキレやすい(偏見)。
一方で鉄。かたい。カ、カテエ… 溶岩石のように凝り固まった長州力のアタマ!よりさらに硬い。
だが、伸びたり縮んだりはしない。
この、交わる筈のないふたつのものを、出逢わせた天才・Xがいる!!(梶原一騎調)
「この鉄を輪っかにして、それをこう互い違いにつなげて…それをずーっと繰り返していけば、硬くて切れない、ステキな縄ができるんじゃないかしら?」
「お前、天才だな!!!!!」
こんな会話が、古代のどこかで、誰かがしていたのだ…。
[wikipedia:鎖]
ただ、
[wikipedia:中央アジアに伝わる、鎖にまつわる神話]
世界を運ぶ巨人ウペルリUpelluri(Ubelluris)が、嵐をつかさどる冥界の悪魔ウルリクンミ・デル・ダルヌシムの使いである二匹の蛇、テリピとラルピに襲われたとき、挟み撃ちに逢ったウぺルリが素早く身をかわすと、愚かで獰猛な二匹の蛇は相互にかみ合い、絡み合ったまま命絶え、そのまま鉄と化した。
・・・・・・・という神話を、いまでっち上げたのだが(笑)※リンク先にいっても何もありません
ことほどさように、鎖というすごく突飛なアイデアを考えた人はすげー。君は鉄と縄だけがあったとき、こんな発想を思い付くかね?
かつて、こんな本を紹介した。
こんな簡単な発明(工夫)が、世界を変えた?「鉄条網の歴史」という本が出た…「コンテナ物語」にも似て。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130421/p4
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013041400014.html
鉄条網の歴史―自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明 [著]石弘之、石紀美子
[評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年04月14日 [ジャンル]歴史
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- 作者: 石弘之,石紀美子
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鉄条網は西部劇を終わらせた。その発明者グリッデンが後妻に「花壇が家畜に荒らされるので、何とかして」と頼まれたことから誕生したこの家畜フェンスは、家畜を制御するカウボーイを失職させ・・・(略)・・・、農地と家畜を守るのにガンマンと鉄条網を持ちだし、19世紀末にはジョンソン郡戦争のような衝突となる。名作西部劇「シェーン」も、この時代と場所の話である。
家畜の侵入と脱走を防ぐ鉄条網は、次に人間をも束縛する。戦場や強制収容所では人間が鉄条網に囲い込まれ・・・朝鮮半島の軍事境界線では、逆に自然が復活し動物が異常に殖えだす・・・
自分はむかし、こどもむけの「君も発明をして一攫千金を狙おうお!」という本が結構好きで読んでいた(今思うといい趣味だったと思う。すべての子供に学校で「簡単な工夫で特許を取れば一攫千金もあるで!」と教えれば、柔軟な頭脳をそのまま新産業に動員でき、起業マインドを育てるのではないか)時期がある。
その中で「実に簡単な工夫なのに発明者が大もうけした」例としてこの鉄条網(有刺鉄線)が取り上げられていたなあ・・・ただ、「怠け者の羊飼いの子供が、横着できるように考えた」みたいなちょっと盛った伝説になってたぞ(笑)。グリッデンさんが、奥さんに頼まれて発明したのか。
しかし、鉄条網だって、頭のいい人がいれば古代に開発も十分可能だったろうにな。
しかし天才グリッデンがいて、はじめてつくられる。
鎖もそうであろうさ。
そして、あまりにも便利だったこの「鎖」は、その後、ちょくちょく神話や伝説、歴史に「もとからあるもの」として何の説明もなく紹介され、比喩にも使われる。
http://homepage3.nifty.com/operasuzume/SamsonEtDalila.htm
「ねぇ、どうしたらアンタ弱くなるの?」(しつこい!)「髪の毛を切られると弱くなるのさ」・・・ビンゴ!
デリラの膝の上でデレっと寝ていたサムソンは髪の毛を切られ、ペリシテ人に捕らわれてしまいます。
両目を潰され、鎖に繋がれて石臼を轢かされるサムソン、やっとこれで一安心のペリシテ人は宴会の余興に彼をさらし者にして楽しもうとします。ところが監禁されている間に彼の髪は伸びていたのです(こんな凶暴な男なのにヘアカットを忘れるなんてペリシテ人もどうかしている)。「神よ、今一度だけ私に力を与え、復讐をさせて下さい」、渾身の力で神殿の柱を押すサムソン、巨大な石の神殿は、3000人のペリシテ人、デリラ、そしてサムソン本人を飲み込んで音を立てて崩れ落ちました・・・。
都合、彼が殺したのは4030人のペリシテ人と一頭のライオン、それに加えて、狐300匹の虐待、放火、器物破損、建造物破壊・・・。
このサムソンとデリラの物語は、旧約聖書の士師記に登場します。士師というのは、ヘブライの民が苦難に陥った時に救いに現れるヒーローのことで、士師記には合計12人のヒーローが描かれ、サムソンはその一人・・・なのですが、何とかペリシテ人と共存しようと苦労している同胞を尻目に、異教徒の女に惚れては大暴れし、ブチギレて大量殺戮を行うこの極道のいったいどこがヒーローなのか?
一応神から怪力を与えられたヒーローですので、サムソンが大暴れする時には『主の霊が激しく臨む』ことになっています。つまり、暴れているのは神の意志ということでしょうか?
http://3kingdoms.info/shu-han/pang-tong/555/
龐統は自ら曹操の軍に入り込みます。「鳳雛」と称された彼の来訪を、曹操は喜び迎えました。そして、龐統は曹操に対し、船に慣れない北方人の船酔い対策として、船同士を鎖でつないでしまえばいいと提案したのです。曹操はそれを受け入れ、鎖で船をつなぎます。
その後、龐統は周瑜の軍へと戻り、そこからは皆さんご存知の赤壁の戦いが展開します。曹操軍に降伏したと見せかけた黄蓋が、自軍の船に火を放って突撃し、一気に曹操軍は大炎上となります。逃げようにも、龐統の助言で船を鎖でつないでしまったので、どうにも身動きが取れず、曹操軍は大混乱に陥り敗走することとなったのです。
http://homepage2.nifty.com/akanotama/doc/manifesto.html
共産主義者は、自分の見解や意図をかくすことを恥とする。共産主義者は、彼らの目的は、既存の全社会組織を暴力的に転覆することによってのみ達成できることを、公然と宣言する。支配階級をして共産主義革命のまえに戦慄せしめよ!プロレタリアはこの革命によって鉄鎖のほかにうしなうなにものもない。彼らの得るものは全世界である。
万国のプロレタリア団結せよ!
サムソンとデリラは紀元前11世紀頃らしいし、赤壁の戦いは紀元208年だし、共産党宣言は1847年だし。
でも紀元前11世紀には鎖があったのか、それとも伝説が後付けされたのか…埴輪とか土偶とか、あるいは壁画のたぐいで遡れないかな??
そして、この鎖があってこそ、ガンダムハンマーという武器も生まれてくるわけなのだが…… 最近疲れるのが早くなった。
「鎖というアイデア、まじすごくね? 最初に考えたやつリスペクト!!!」とだけ書いて「序章」を終える。
続編があるか、ないか。自分のことながら、なんとも分からない…。
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