CERNのATLAS-Liveウェブサイトでは、毎秒40万回ともされる陽子衝突実験の結果を視覚化して公開しています。Quantizerではこの実験結果データを取得してノイズフィルターにかけ、可聴周波数帯域へとシフトし「Cosmic」「House」「Suiter Samba」といった各ジャンルの音楽で使う音階へとシフト、マッピングして再生します。
サイトを眺めつつ音楽を聴いていると、定期的に新たなデータがロードされ、曲調が微妙に変化するのがわかります。ただ、ATLAS実験では1秒間に40万回とも言われる陽子衝突実験を実施していることから、Quantizerではその生データをリアルタイム変換しているというよりは、ATLAS-Liveでグラフィックに変換されるデータを利用して音楽化している模様です。
なお、ATLAS-Liveで画像変換されたデータはQuantizerのサイトでも音楽とともに表示しています。
ちなみにQuantizerは、2015年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでのイベントが出発点となっています。モントルー・ジャズ・フェスティバルでは音楽フェスティバルの傍らで各種のセミナーやワークショップが開催されており、2015年には先日死去したプリンスも出演した音楽ステージの裏で、CERNの研究者がアーティストとのコラボ「Sound Sculptures:音の彫刻」を発表していました。このコラボイベントでATLAS実験結果データをライブで音楽に変換したのがきっかけとなっています。
Quantizerのサイトでは当時の音楽データも聴くことが可能です。試しに聞いてみたところ、少しせわしないQuantizerのリアルタイム演奏に比べるとテンポダウンしており、ゆったりとした雰囲気の音楽を楽しむことができます。