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ひびわれたまご

アホな記事から、真面目な記事まで。ADHD当事者が、完璧なママではなく「平均点ママ」を目指しながら”楽”をシェアする育児ブログ。

「悪い親」を懲らしめるのは、気持ちがいいですか?

ADHDママの育児・家事メモ 真面目に考察 Twitterまとめメモ

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「しつけのため」と言って、北海道の山中に7歳男児を置き去りにし、行方不明になっている件について、先日記事を書きました。

shinoegg.hatenablog.com

 詳しくはそちらをご覧いただきたいのですが、結論をざっくり書くと「しつけと称して親が力でねじ伏せても、子どもは慣れるし反抗もする。」ことや、「しつけに暴力を使ってはいけない理由は、安易な方法であり、必ずエスカレートしてしまうので危険」だということや、一方で、「厳しい躾」に対する世間のニーズも存在するということについて触れました。

 

これ以外でも、このブログでは「完璧な母親ではなく、平均的ママを目指して、楽をシェアする」をコンセプトに、育児の難易度を下げる工夫や、気持ちを楽にする方法について、紹介してきました。

 

そして昨日のこと、Twitterでこんなツイートを見かけました。

 

 

「本当にいいことをしていると思っています」

t.co

2016年5月31日の朝9時時点で、リツイート数は7000を超え、「いいね!」が5000以上ついています。つまり、このツイートを見た5000人以上の人間が、この行為を「いいね!」と思っているということです。

何が「いいね!」なのか

この行いは、「本当にいいこと」なのか。

 

悪者を懲らしめて、その悪者が慌てる姿は、見ていて気持ちがいいものです。
勧善懲悪はスカっとしますし、それは気持ちがいいかもしれません。

 

 

何をしても長時間グズる子どもに困り果て、最終手段として「もう!置いていくよ!」と言ってしまうことが、私もあります。

子どもは思うほど、単純ではありません。

 

「やだ!嫌なの!」

子どもには、第一次反抗期、通称「イヤイヤ期」があり、拒否の言葉しか言わなくなる時期があります。 とにかく何が何でも拒否。何から何まで拒否。パンツをはくのも拒否。靴下をはくのも拒否。食べるのも拒否。遊ぶのも拒否。出かけるのも拒否。全身全霊を使って拒否拒否拒否。

大体、1歳の後半くらいから始まり、長い子ですと4歳くらいまで続くこともあります。

でもそれも、成長過程で必要なことであり、それを理解している母親たちは、疲弊しながらも、受け止め、言い聞かせ、つきあい、ごまかし、少ない手持ちのカードを駆使しながら、日々の生活を回すため、この一筋縄ではいかないが、強引にコントロールすることも許されない生き物と、365日24時間体制で一緒に暮らしています。

 

「遅くなっちゃうから、もう行こうか」

これで付いて来てくれる時もある。

 

「ママね、○○しないといけないから、早く帰らないといけないの」

これで付いて来てくれる時もある。

 

「そうだね、ここにいたいね。でもごめんね、帰らないといけないんだ」

ここで付いて来てくれる時もある。

 

「そうだ!おうちに帰って○○しようか!」

ここで付いて来てくれる時もある。

 

「一緒に競争しようか!」

ここで付いて来てくれる時もある。

 

「オンブして帰ろうか!」

両手に重たいレジ袋を引っさげ、背中に15kgを背負って、歩いて帰るときもある。

 

「○○買ってあげるから」

本当はモノで釣りたくないけど、これに頼らざるを得ない時もある。

 

ここまで色々試しても、何を言っても泣いて動かず、

「もう!いい加減にしないと、置いていくからね!!!!!」

を、どうにもならなくなって、使ってしまう時もある。

 

毎日毎日、何をするにもそんな調子で疲れ果て、いけないと思いつつも、多用してしまうときもある。

それが、善いことだと正当化するつもりもありませんし、確かに褒められたものではありませんが、「ここまでされるに値するほど」、悪いことなのでしょうか。

 

見ず知らずの成人男性に、突然「そうか!お前は捨てられたのか!!」と声をかけられ、我が子を抱きかかえられた、お母さんとこの子の気持ちを思うと、胸が痛みます。

 

何より、そんなことを言われたこの子は、どう思うのでしょうか。

 

 
わたしはこれまで、育児ボランティア活動などを通して、本当に様々なお母さんたちの悩みや、生の声に触れてきました。

子育てのしにくい現代社会の中で、悩みながら、もがきながら、苦しみながら、時に間違えて、後悔して、自己嫌悪して、それでも子どもに愛情を向けて、毎日を精いっぱい過ごしている、たくさんのお母さんを知っています。

 

笑顔の群衆に、寄ってたかって石を投げられる気分です。

何もそこまで、と思うかもしれません。感情的になっている部分もあると思います。

 

でも、何も知らない人たちに、ここまで悪者扱いされて、

「いいぞもっとやれー!」と沢山の人たちから喜ばれるなんて、

本当に、あんまりだ。

 

 

そして皆がどんどん追いつめられ、誰も幸せにならない

 

「愛のない、イヤな母親を懲らしめろ!」という意図がもしあるとして、


この行為に、愛はあるんでしょうか。

 

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