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中台首脳初会談 地域安定を図る対話に

 中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席と台湾の馬英九(ばえいきゅう)総統が7日にシンガポールで会談する。1949年に中国共産党との内戦に敗れた国民党政権が台湾に逃れ、中台が分断されて以降、双方トップの会談は初めてだ。

     中台関係の行方は日本を取り巻く東アジア地域の政治、経済や安全保障にも影響を与える。歴史的な対話は関係安定化の機会だが、台湾内には統一交渉に結びつくのではないかという警戒感も根強い。台湾の現状を踏まえた話し合いを望みたい。

     馬政権は2008年の発足後すぐに中台間を直行する初の定期航空便を開設するなど経済を中心に中国との関係強化を図ってきた。中国人観光客の受け入れを拡大し、自由貿易協定に当たる「経済協力枠組み協定(ECFA)」を締結した。

     昨年2月には中台関係を主管する閣僚同士の初会談が実現し、政府間対話にも道が開かれた。馬総統は習主席との会談にも意欲を見せ、昨年11月に北京で開いたアジア太平洋経済協力会議(APEC)時の会談実現を模索したが、この時は中国が応じなかったとされる。

     華人の多いシンガポールは中台双方と良好な関係を持つ。習主席が国交正常化25年を記念して同国を公式訪問するのに合わせて馬総統がシンガポール入りするというお膳立てができたのはそのためだろう。

     かつての敵対関係を思えば、歴史的な出来事だが、問題は台湾内で共通の対中認識が確立されていないことだ。来年1月の次期総統選では、馬政権と対立する最大野党・民進党の蔡英文(さいえいぶん)主席が優位に立つ。蔡氏らは中台融和の演出で選挙情勢を転換させようとする国民党の戦略ではないかと批判している。

     台湾では90年代からの民主化で「台湾人意識」が強まった。中国との対立は望まないが、統一もしたくないと現状維持を望む声が大勢だ。馬政権下で、想像以上のスピードで中台の関係強化が進んだことが与党・国民党批判に結びついている。

     国民党が当初、総統選の公認候補に選んだ洪秀柱(こうしゅうちゅう)氏は統一に積極的と見られて朱立倫(しゅりつりん)同党主席との交代に追い込まれた。一方、独立志向が強いとされてきた民進党も変化している。蔡氏は主席として初めて「中華民国」の建国記念日の式典に出席し、現状維持を優先する姿勢を明確にした。

     首脳会談で話し合われるべきはこうした台湾の変化だ。昨年、習主席が中国主導の統一を意味する「1国2制度」に言及した際には台湾から猛反発が出た。中国が統一を急いでは中台関係はかえって不安定化する。選挙をにらんだ短期的な思惑を超え、長期的な中台関係の安定化を目指した対話を進めてほしい。

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