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オバマ大統領の広島訪問は中国の対日歴史カードを打ち砕く一撃となった 特別記者・湯浅博
日本の周辺は腹黒い国家ばかりである。中国はもとより、北朝鮮の核開発、ロシアの拡張主義も止まらない。米国に望むのは、核削減といえども力の均衡を崩さないように減らすこと。米国の「核の傘」に信頼がおけなくなれば、日本は核オプションを論議せざるをえなくなるからだ。
私自身は演説に盛り込まれた言葉より、献花に訪れたオバマ氏の行動の方がより重要であると思う。それは任期の間際に成し遂げたオバマ氏の外交遺産になり、日本を「米中共通の敵」とする江沢民元中国国家主席の外交遺産を打ち砕く一撃でもあったからだ。
反日を体制維持に利用する中国指導部には、日本が被害者の立場になっては都合が悪いのだ。中国は主要国の中で、いまも核の増強を続ける唯一の国であり、日本の「被害者イメージ」が高まると、日米分断の切り札にこの「加害者カード」が使えなくなる。
1989年の天安門事件で、共産主義イデオロギーの凋落に直面し、江主席が頼ったのがナショナリズムの高揚であった。反日教育を現場に取り入れ、ことあるごとに「日本軍国主義の足音がいまも聞こえる」と繰り返した。以来、反日ナショナリズムは、共産党体制を維持する最強のイデオロギーになった。
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