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日韓首脳会談 前向きの流れ作りたい

 安倍晋三首相と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が就任後初めて会談した。日韓首脳の会談は約3年半ぶりだ。昼食会も、共同記者会見もなかったという寂しさは否めない。それでも、関係改善の必要性を首脳同士で確認できた意味は大きい。これを機に関係改善へ向けた前向きの流れが定着することを期待したい。

     最大の懸案となっている慰安婦問題では、「できるだけ早期の妥結」(安倍首相)を目指して交渉を加速させることで一致したという。

     朴大統領は毎日新聞との書面インタビューで「年内解決」への期待感を表明していた。安倍首相も会談後、「今年が国交正常化50年の年であることを念頭に置きながら」と語った。

     戦後70年たち、元慰安婦たちは高齢になっている。残された時間は少ない。両国政府は早く妥結点を探るよう努力してほしい。

     日本にとっては自らの国際イメージにもつながる話である。

     国際社会では1990年代のユーゴ危機を契機に、戦時下の性暴力への関心が高まった。慰安婦問題はその一類型と見られている。

     安倍首相は国連総会などで、アフリカなどの紛争地を念頭に被害者支援を積極的に行うと表明してきた。慰安婦問題の解決は、こうした取り組みへの評価にもつながる。

     安倍首相は「将来世代に障害を残すことがあってはならない」と語った。朴大統領も思いは同じだろう。

     安倍首相は思い切って一歩踏み出す必要がある。同時に朴大統領には「いったん解決となっても、後で蒸し返されるのではないか」という日本側の懸念を拭い去ってほしい。

     慰安婦問題の解決策を探るのは、とても難しいことだ。両首脳がともに汗をかいてこそ実を結ぶという現実から目をそらしてはならない。

     日韓の間には慰安婦問題だけがあるわけではない。安全保障や経済面での協力は欠かせない。

     両国とも米国との同盟を安保政策の根幹としており、日米同盟と米韓同盟は相互補完的な関係にある。北朝鮮の核問題で共通の利害を抱えていることは論をまたない。経済面でも、日韓は互いに国別で第3位の貿易相手だ。協力すべき理由は枚挙にいとまがない。

     一方で考えざるを得ないのは、台頭する中国に向ける視線の違いだ。韓国が中国に接近しすぎだという見方は日本に根強い。ただ、対中認識の違いは長い歴史や地理的関係を考えれば当然である。日韓が協力できない理由にしてはいけない。

     両国の現政権下では、外相や防衛相の相互訪問も滞っていたが、最近は徐々に動き始めている。難しい局面だからこそ対話し、互いを冷静に見つめる努力を重ねたい。

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