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【スポーツ】

加藤2位でリオ代表 0.1点差に田中 体操男子NHK杯

男子個人総合の表彰式で花束を手にする8連覇を果たした内村航平(左)と2位の加藤凌平=国立代々木競技場で

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 リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねて個人総合で争うNHK杯最終日は5日、東京・国立代々木競技場で男子が行われ、加藤凌平が合計180・100点で内村航平(ともにコナミスポーツ)に次ぐ2位となり、2大会連続となる五輪代表に決定した。

 既に代表に決まっていた内村は184・650点で8連覇を果たし、自身の最多連続記録を更新した。

 4月の全日本選手権の決勝得点を持ち点として争い、全日本優勝の内村はこの日も93・350点で2位以下を圧倒。全日本3位だった加藤は全6種目で安定した演技をそろえて90・700点をマークし、代表争いで持ち点トップだった白井健三(日体大)を逆転。90・950点で全日本の6位から3位まで追い上げた田中佑典(コナミスポーツ)をわずか0・100点上回った。

 白井はあん馬での落下などが響き、5位だった。

 残り3人の代表は、6月の全日本種目別選手権を含めた選考会3大会の成績から、団体総合でのチーム貢献度によって選出する。

    ◇

 負けても表情を崩さず、勝ってもかすかに笑うだけ。クールなたたずまいが身上の加藤が、最後の演技の得点を確かめると顔をゆがめて雄たけびを上げた。「追い込まれると力を発揮できるのが僕」。五輪連続出場への窮地で臨んだ鉄棒で、内村に続く代表にふさわしい精神力を示した。

 5種目を終えて田中を0・400点リードしていたが、相手は鉄棒が得意。全日本選手権のこの種目で1・000点多い得点を挙げたライバルが、今回も順調に演技を終えた。「15・600点が必要と頭にあった。縮こまっても点が伸びないので開き直った」

 昨年まで苦手としたG難度の手放し技「カッシーナ」を余裕を持って決めた。「今までで一番しびれた」という着地もぴたり。事前の計算そのままの得点で、田中をわずか0・100点上回った。

 白井や田中のように突出した得意種目はない。今大会で争うオールラウンダーの枠で五輪行きを決めなければ、2大会連続の代表入りは厳しいとみられていた。昨夏にねんざした左足首の痛みは残るが「普段の演技をすれば勝てる」と自分を見失わず、この日はけがの原因となった跳馬の高難度技も成功させた。

 試合後の会見ではもう普段の姿に戻っていた。「五輪で重圧がかかった場面でもできる自信がついた」。8月のリオでも、涼しげな瞳の22歳が日本を救う時がくる。 

  (鈴木智行)

 

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