【体操】加藤の精神力！田中を０・１００差で振り切り連続五輪

　　◆体操　ＮＨＫ杯最終日（５日、東京・国立代々木競技場）

　男子決勝で、加藤凌平（２２）＝コナミスポーツ＝が全日本選手権決勝（４月）との合計１８０・１００点で２位に入り、２大会連続のリオデジャネイロ五輪代表に内定した。３位の田中佑典（２６）＝同＝を０・１００点の僅差で振り切った。既に代表内定している内村航平（２７）＝同＝が合計１８４・６５０点で圧勝し、８連覇を達成。男子代表の残り３人は、６月の全日本種目別選手権後に決まる。

　１ミリもずれない。突き刺さるような着地で、加藤がリオをもぎ取った。最終種目の鉄棒までもつれたデッドヒート。完璧な演技で１５・６００点を出し、追いすがる田中との勝負を決めた。「今までで一番しびれた。『着地は止めて当たり前』なので」。絶対王者・内村の“口癖”をまねしつつ、端正なマスクにホッとした笑みを浮かべた。

　追い込まれるほどに、底力を発揮する。五輪選考で、６種目に強いオールラウンダー枠は今大会最上位（内村除く）の残り１枠。突出した得意種目がない加藤は、今大会で内定できなければ出場も危ぶまれる状況。落下もありプレッシャーのかかる鉄棒で「開き直って集中できた」と涼しい顔で最高の力を出してみせた。父でコナミスポーツ監督の裕之氏（５２）も「集中したときは、ものすごい演技をする。気持ちの強さは本物」と舌を巻いた。

　もう一つの強みが“研究家肌”だ。全種目に安定した力を発揮できる秘訣（ひけつ）は「体操でのきちょうめんさと研究熱心なところ」と母・由美さん（５０）は明かす。小学生の頃に好きだった人気ゲーム「ポケットモンスター」も、攻略本を買ってクリアのポイントをとことん分析しないと気が済まなかった。体操も同じ。ビデオで自身の試合映像や他の選手の演技を細かくチェックし、技術向上につなげてきた。由美さんは「あの場でこの演技を出せた凌平が本当にすごい。代表に入れない選手の分まで、五輪では日本を引っ張ってほしい」と客席で目を潤ませた。

　１８歳で初代表のロンドン五輪は団体総合銀。リオでは１５年世界選手権に続く団体金を使命に、主軸として活躍が期待される。加藤は「五輪の金メダルに向け、頑張っていきたい」。内村とＷエースで、体操ニッポンの中心に立つ。（細野　友司）

　◆体操男子代表選考のゆくえ　出場枠は５。内村と加藤が内定し、残りは３枠となった。３人は内村、加藤との組み合わせで団体総合におけるチーム貢献度の高い選手が選ばれる。うち１人は今大会５位以内、もう１人は１２位以内から選出。最後の１人は、全日本個人総合決勝、今大会、全日本種目別選手権（６月）の３大会いずれかに出た選手が選考対象。

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