クローズアップ現代

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No.37912016年4月13日(水)放送
“新リストラ時代”到来!? 業績好調なのになぜ

“新リストラ時代”到来!? 業績好調なのになぜ

突然の退職勧告 業績好調なのになぜ

今年(2016年)、大手製紙会社を退職した、40代の男性です。
工場では、生産ラインの調整を任され、グループ会社の部長を務めるなど、20年にわたって会社に貢献してきました。
妻と子ども1人。
公私ともに安定していた暮らし。
それが突然揺らいだのは、去年(2015年)のことでした。
ある朝、人事部から話があると声をかけられました。

実際の音声:人事部
「悪いけど、活用できる人材なのかというと、なかなか(会社に)残っていても大変だね。
外に出て行くことを真剣に考えてもらいたいな。」

会社は、6年連続の黒字。
売り上げも増え続けていました。
そのさなかの戦力外通告に、男性は途方に暮れました。

元 正社員の男性
「まさに『なんで?』。
全く納得がいかない。」

会社からは、退職金の割り増しに加え、再就職を支援する人材会社の費用を負担すると説明されました。

一般的に、経営が危機に陥っているなど、一定の条件を満たしていない限り、会社は社員を解雇することはできません。
会社は、優遇措置を提示し、社員の意思で退職するよう求めてきました。

元 正社員の男性
「会社に対して、さらに貢献できる意識と自負はあったので、全く退職なんて考えていませんでした。」

子どもはまだ中学生。
男性は、今後の教育費や生活費を考え、退職には応じられないと伝えました。
すると男性は、人事部から退職に応じない場合、人材会社に通ってもらうと告げられました。

実際の音声:人事部
「グループ外で、テンプスタッフ(人材会社)で、『自分の働く先を見つけること』が仕事です。
もしかしたら接客みたいなほうが、向いているかもしれないし、いい機会だと思う。」

君の仕事は、人材会社に通って、別の職を探すことだとの命令。

元 正社員の男性
「まさに想像もしないような業務命令ですかね。
あり得ないって即思いました。」

労働法に詳しい、弁護士の棗一郎(なつめ・いちろう)さん。
こうした指示は、労働契約法に反していると言います。

弁護士 棗一郎さん
「自分の再就職先を探せというのは、結局、君はもう会社をやめてもらって、他のところに行きなさいと、そこを探せということですから、もう解雇に等しいんですよ。
それを表現を変えて言っているだけ。
もはや退職の強要であって違法なもの。」

NHKでは、大手製紙会社が、実際に退職を勧めた人たちの一覧を独自に入手。
40代、50代の働き盛りの中高年社員が数多くリストアップされていました。
病気になった人や、性格がおとなしい人。
働き方に大きな問題がないと見られる社員も含まれていました。

業績好調にも関わらず、なぜ社員に退職を勧めたのか。
今回、会社は取材に応じませんでしたが、男性社員にこう説明していました。

実際の音声:人事部
「紙の需要がかなり減って、事業構造を変えていきましょうと。
だんだん洋紙事業はシュリンク(縮小)していこうと。」

デジタル化による紙離れや、人口減少によって、今後の見通しは容易ではないというのです。

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