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1億総活躍会議 何をするのか決めよう

 安倍晋三首相が第3次改造内閣のスローガンとして掲げる「1億総活躍社会」の中身が依然としてあいまいだ。具体的にどんな政策をターゲットにしようとしているかが、はっきりしない。

     政府は安倍首相を議長とする「国民会議」を設け、今週から検討に着手する。従来の政策を焼き直しても、時間の浪費に等しい。重複を避け、早急に課題を絞るべきだ。

     国民会議は加藤勝信1億総活躍担当相、増田寛也元総務相やタレントの菊池桃子さんらで構成され、来月にも緊急対策をまとめる。メンバーに名を連ねる識者には他の政府会議と重複する「常連」も目立つ。

     改造内閣発足から約20日を経ても「1億総活躍」の合言葉に国民の理解は深まっていないのが実態だろう。首相がこれと一体的に示した「強い経済、子育て支援、社会保障」の「新三本の矢」はそもそも政権全体に関わるテーマだ。首相は「誰もが一歩踏み出せる社会」や「50年後に人口1億人を維持する」人口減少対策も強調しており、いくつかの目標が混在した印象だ。

     しかも人口減少、少子化対策を主軸に据える場合、安倍政権が昨年から進める「地方創生」との重複や整合性が課題になる。

     首相は「全国で最も出生率が低いのは東京だ。必ずしも地方創生の視点だけで論ずることはできない」と説明する。だが、大都市圏では出生率上昇に限界があるとして、出生率の高い地方へ人口の逆流を図ろうというのが地方創生のコンセプトだった。政府が人口減少対策の目標とする「希望出生率1・8」も、増田氏らの民間団体が昨年、消滅自治体リストを公表した際に地方の危機を念頭に提言したものだ。

     多くの自治体は今、人口ビジョンや地域再生策作りを急いでいる。時のキャッチフレーズに応じて軸足や体制が変わるようでは地方はとまどうばかりだ。

     現在1・42の出生率を1・8に上げるハードルは非常に高い。首都圏の対策にしても、安倍内閣は待機児童対策などを強調してきた。今後、何を上積みしていくのか。出生率ばかり強調すると、ライフスタイルを押しつける風潮を生む懸念もある。

     予算編成を控え、各府省には事業名に「1億総活躍」と冠して予算獲得を目指す動きもあるという。実態があいまいな看板を使い回そうとする思惑があるとすれば、問題だ。

     政治の目配りがこれまで不十分だった介護離職問題やひとり親世帯の支援などに重点を絞るのも、ひとつの方法ではないか。「1億総活躍」という大風呂敷を広げてみせるだけでは、その環境は整わない。

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