引退フェリー、災害支援に有効 しかし難しい現実

なぜ「はくおう」は迅速に対応できたのか

 災害発生時に大型フェリーを救援へに向かわせるには、日常的に行っている営業航海をどうするのか、費用をどこが負担するかといった問題が存在します。今回の熊本地震でも一部の会社へ打診されたとみられますが、実現しませんでした。

 今回、地震発生からまもなくに被災地へ向かえた大型フェリー「はくおう」は、先述の通り定期航路から引退した船で、防衛省がチャーターしているものであったため、迅速に対応できたのです。

 現在、防衛省は災害対策や南西諸島への隊員輸送などを念頭に、この大型フェリー「はくおう」と、青森~函館間を結ぶ青函航路で使用された高速船「ナッチャンWorld」の2隻をチャーターしています。

客室のほか「大浴場」「堂」「スポーツルーム」などを備える大型フェリー「はくおう」(写真出典:防衛省)。

 ただ、こうした災害を想定した船の確保は容易ではありません。「災害対策船」の有用性については過去の災害発生時から認識され、内閣府と国土交通省、防衛庁らが共同で、ないしは独自に、検討を続けてきました。しかし平時にどう使えばよいのか、運航要員はどう確保すればよいのか、そのコストはどうすればよいのか、といった課題が存在しているのです。

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コメント

2件のコメント

  1. 事の良し悪しはともかく昔 日本には 「優秀船舶建造助成施設」と言うものが在りました。内容は長くなるから割愛します、これ読んでるひとなら調べられるでしょ。
    検討してみる価値は有るんじゃないかな。

  2. 普段は1泊クルーズとか岸壁でレストランやってるとかで維持するんかな