【社説】「国連事務総長」潘基文氏は全力で任期を全うせよ

 潘氏が国連事務総長の任期を終えて韓国に戻り、実際に大統領選挙への出馬を目指す場合、何か大きな障害や特別な問題があるわけではない。韓国では有権者の多くが、潘氏にはそれだけの資格があると考えているのは事実だ。しかし今後潘氏の考えや行動の方向性が明らかに韓国国内に向けられ、国連事務総長の地位が空白状態になったと受け取られるようになれば、これは誰にとっても良いことは何一つない。そのため潘氏も国内の政治的動きとは距離を置くべきであり、また政界も潘氏を引き入れるような行動や発言はただちに中断すべきだ。

 現在、国連事務総長である潘氏の前にはイスラム原理主義勢力であるIS(イスラム国)によるテロ、さらにこれと関連するシリア、イラク、アフガニスタン、イエメンなどでの内戦、アフリカ諸国における過激派の勢力拡大、ウクライナ問題をめぐる欧米とロシアの対立など、数多くの懸案がまさに山積みとなっている。そのため潘氏は本来なら気を緩めることのできる時間などないはずだ。潘氏の大きな業績の一つとされる気候変動をめぐる昨年のパリ協定締結についても、その後の各国の動きには引き続き注目していかねばならない。

 潘氏は口では「有終の美を飾りたい」と語っているが、時間が過ぎるのを待つだけでは、これらの問題は何一つ解決しないし動くこともない。世の中には韓国の大統領選挙に劣らず重要な問題が数多くあり、今や韓国も国内だけでなく世界に関心を向けるべき立場になっている。そのため潘氏が任期の最終日まで全力を尽くすことは、本人はもちろん、潘氏を国際社会に送り出した韓国にとっても当然必要なことだが、それ以上にこれは国際社会全体が国連事務総長に本来求めている姿勢に他ならないのだ。

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