【社説】「国連事務総長」潘基文氏は全力で任期を全うせよ

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は今日、韓国からニューヨークの国連本部に戻る予定だ。今回の6日間にわたる韓国滞在中、潘氏は予想以上に政治的な発言を連発し、国内外から大きな注目を集めた。初日の寛勲クラブでの講演では大統領選挙出馬の可能性を明確に示唆し、28日には忠清南北道で大きな影響力を持つ金鍾弼(キム・ジョンピル)元国務総理(首相)と非公式に会った。さらにその翌日には慶尚北道安東市と慶州市で大邱・慶尚北道の有力者らと昼食会や夕食会を立て続けに行った。今や政界では潘氏の大統領選挙出馬の意志を疑う声さえ出なくなり、その結果、潘氏に対して与党は期待感を、野党は警戒感をあからさまに示すようになった。

 しかし潘氏には国連事務総長という国際的な重責と義務を果たすべき任期がまだ7カ月も残っている。大統領選挙出馬に傾いたような潘氏の発言や態度が、今の時点から国内外から大きな反響を持って受け取られるのは決して望ましいことではない。潘氏の国連事務総長就任を当初から厳しく批判してきた欧州の一部メディアは、今もなお潘氏の能力や業績に疑いの目を向けている。外交関係者の間では、これらの批評はアジア出身の国連事務総長に対する人種差別的偏見に起因するとの見方も確かにある。しかしたとえそれが事実だとしても、潘氏が韓国国内で政治的な動きを示すことが、国際政治の場で好意的に受け取られることはまずない。すでに国連本部のブリーフィング会場では、世界的な懸案よりも潘氏の政治的動きに関する質問や問い合わせが出始めているという。

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