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読書週間 マンガを学びの糸口に

 きょうから読書週間が始まる(11月9日まで)。ことしの標語は「いつだって、読書日和」。インターネットの時代に読書をどう習慣づけるかを考えてみたい。

     毎日新聞社が全国学校図書館協議会(全国SLA)と合同で小中高校の児童、生徒を対象に実施した第61回学校読書調査で、マンガについての興味深い結果がまとまった。

     マンガを読んで感じたこととして「今まで知らなかったことがわかった」に7割以上が「はい」と答え、「時間のむだだと思った」と「言葉づかいが乱暴になった」には9割が「いいえ」と答えたのである。

     読書が学力の向上につながることは認めても、マンガは勉強の妨げと見る風潮が強かった。それとは異なる子どもの意識が浮かび上がる。

     マンガをジャンルに分けて、それぞれについて「よく読む」か「あまり読まない」かも尋ねた。「よく読む」が多かったのは、女子は小中高とも「友情や恋愛を描いたマンガ」で、男子は小学生が「楽しいギャグや愉快なキャラクターが登場するマンガ」、中高生が「冒険やスポーツなどを描いたマンガ」だった。

     子どもがマンガに娯楽を求める面は大きい。マンガを読んで感じたこととして「楽しい気持ちになった」を小中高の9割があげた。

     それでもマンガが好奇心を呼び起こし、学びの糸口になる可能性もあるのではないか。ノーベル物理学賞の受賞が決まった梶田隆章・東京大宇宙線研究所長が幼い時に、「鉄腕アトム」のお茶の水博士にあこがれていたという逸話は記憶に新しい。

     2002年に米国で「クールジャパン(かっこいい日本)」と評価された頃からは、国もマンガを文化として支援するようになった。

     学びにつながるマンガを選ぶ事業に関わった中村伊知哉・慶応大教授は「マンガに良い影響を受けた先生が増えてきた。私も、『はだしのゲン』で初めて原爆の被害を知った。賛否両論はあるが、子どもが何かを感じ取ってくれれば」と語る。

     今回の学校読書調査では、気になる結果もあった。

     分からないことを何で調べるかを尋ねたところ、小学生では「家族や友達、先生」が最多の68%、「スマホやタブレット」は46%だったが、中学生では「スマホやタブレット」が「家族や友達、先生」と並び、高校生では89%にのぼった。

     スマホなどを使い慣れた子どもたちは、本で調べるのを面倒に思うのかもしれない。出版不況はマンガ誌に及ぶ。マンガも読まない子が増えているなら、事態は深刻だろう。

     教育現場でのマンガ活用を含め、本の世界への橋渡しを工夫したい。

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