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オバマ大統領の広島訪問のあとで、安倍首相が真珠湾を訪問するべきだという声がある。
ホワイトハウスは安倍首相がハワイの真珠湾を訪問することを歓迎する意向だと報じた。真珠湾では日本軍の奇襲攻撃から今年 12月で 75年の節目を迎え、式典が予定されている。同紙は米政府高官が「安倍首相が真珠湾に来なければ驚きだ」と語ったことも伝えた。
( → 「安倍首相も真珠湾に」 : 読売新聞 2016-05-28 )
安倍首相自身は、乗り気でない。
《 安倍首相:真珠湾訪問に慎重姿勢 》
安倍晋三首相は今のところ、米ハワイの真珠湾を訪問することに慎重姿勢を崩していない。25日にオバマ米大統領と会談した後の記者会見で「現在、ハワイを訪問する計画はありませんが、昨年、戦後70年の節目に米国を訪問し、上下両院合同会議でスピーチを行いました」と語った。
首相は戦後70年の節目にあたる昨年4月に米議会で演説し、真珠湾にも触れながら「悔悟」の念を表明した。この演説を踏まえ、8月には戦後70年談話を発表、すでに戦後の総括は終わったとの認識を持っている。
首相が真珠湾を訪問すれば、日本が開戦に踏み切った経緯に再び焦点が当たる。歴史論争が再燃する恐れがあり、慎重論の背景になっている。
( → 毎日新聞 2016-05-28 )
以上は、現在の政界の情勢だ。それとは別に、「どうするべきか?」について、私の考えを述べよう。
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まず、政治的に損得を言うなら、何もしない方がいい。事を荒立てず、うやむやにした方が、米国人の得意な気分を損なわずに済むからだ。
米国人は「おれたちこそ正義だ。だから、原爆を落としたのは正義だ。一方、正義であるおれたちを攻撃した日本は悪だ」と思っている。そういう人々(トランプみたいな人々)の機嫌を損なわないためには、何もしない方がいいだろう。
一方、「真実を告げる」という方針もある。「良薬は口に苦し」というタイプの方針だ。こういう方針もあるので、一応、以下で示しておこう。
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真珠湾攻撃については、米国人は虚偽を信じている。つまり、「宣戦布告なしに米国領のパールハーバーを攻撃した日本は、卑怯であり、悪である」というふうに。
しかし、これは虚偽である。理由は二つある。
宣戦布告
日本が宣戦布告をしなかったのは事実だが、これは、宣戦布告をする意思がなかったからではない。宣戦布告をする意思はあったが、外交官のミスのせいで、宣戦布告が少し遅れただけだ。
これは、よく知られた事実だから、知っている人も多いだろう。知っているなら、次の話は読まなくてもいい。
事実:
(A)日本政府は宣戦布告の通知文を12月6日午前中に在米大使館に送付したが、大使館員は送迎会に夢中で、文書の翻訳が大幅に遅れた。そのせいで、米国政府に文書を渡したのは、真珠湾攻撃の1時間後となってしまった。たったの1時間だけ遅れたわけだ。それも、大使館員のミスで。
これは、一種の手続きミスである。「卑怯」ということはない。「無能」というだけのことだ。
(B)日本の宣戦布告の暗号文を、有能な米国政府はすでに解読していた。宣戦布告をルースベルト大統領は知っていた。
以上の(A)(B)の出典は → 真珠湾攻撃 - Wikipedia
なお、(B)に関して、「ルーズベルトは日本の真珠湾攻撃を知っていたのに、わざと隠していた」という陰謀説もある。
→ 真珠湾攻撃陰謀説
この場合、わざとならば、陰謀となる。
しかし、わざとでなければ、無能ということになる。その無能さは、日本の大使館員と同程度だ。(いや、もっとひどいかも。大使館員は、重要性を知らなかったが、大統領は、重要性を知っていたからだ。)
以上をまとめれば、こうなる。
「宣戦布告なしに真珠湾攻撃をした日本は卑怯である」というのは、虚偽である。日本は宣戦布告をした。ただし、それを伝達するのは、手続きの遅れから、1時間後になってしまったのだ。それは、卑怯なのではなく、無能であったからだ。
一方、ルーズベルト大統領は、その内容を知っていた(歴史的事実)。なのに、それを国民に伝えなかったのは、ルーズベルトの責任である。故意であるか、怠慢であるか、その理由はさておき、真珠湾攻撃に事前予告がなかった最大の理由は、ルーズベルトにある。
これが歴史的真実だ。その真実を知るべし。
ハワイは米国領か?
真珠湾攻撃によって日本は米国を攻撃した、と言われる。だが、ちょっと待ってほしい。ハワイは米国なのか? とんでもない。今ではハワイは米国の州の一つだが、真珠湾の攻撃のときには、ハワイは米国ではなかったのだ。
ハワイがアメリカ50番目の州に昇格したのは、1959年8月21日である。
→ ハワイ州 - Wikipedia
だから、それ以前は、ハワイは米国ではなかったのだ。つまり、真珠湾攻撃の時点では、日本は米国を攻撃していなかったのである。
では、州に昇格する以前のハワイは、何であったか? アメリカの準州であった。準州とは? 現在の「自治領」は、単に正式な州ではないという程度のもので、自治権が与えられている。しかし、当時のハワイ準州とは、要するに、植民地のことであった。
詳しい事情は、下記にある。
→ ハワイ併合 - Wikipedia
要するに、こうだ。
・ もともと原住民による「ハワイ王国」があった。
・ 米国系の白人が移入した。
・ 外国人の参政権認めるように強要した。
・ クーデターを起こして、白人政権を確立した。
かくて、原住民の「ハワイ王国」を滅亡させた。
・ 原住民の参政権を剥奪した。
ま、典型的な「植民地化」である。
この「ハワイ併合」に比べると、日本の「韓国併合」は、天国みたいに原住民を優遇している。完全に、ではないが、名目的には、朝鮮人と日本人とは対等の立場にあった。もちろん、韓国人にも参政権を認めた。
( ※ 韓国は日本の統治の直下にあったので、参政権は朝鮮人にも日本人にもなかった。一方、内地においては、朝鮮人にも日本人にも参政権はあった。実際、朝鮮系の議員が誕生した。)
新憲法は、東洋人に対し選挙権や市民権をあたえず、公職勤務を禁じるいっぽう、白人団体が多くの点で権力を保持できるよう配慮されていた
( → ハワイ併合 - Wikipedia )
朝鮮人も帝国臣民の地位が付与されたため、内地に居住していれば参政権・被参政権とも認められており(→1925年普通選挙法)衆議院選挙に参加することは可能であった。唯一朝鮮人として朴春琴が衆議院議員に選出されている。
( → 韓国併合 - Wikipedia )
以上をまとめてみよう。
日本は真珠湾を攻撃した。しかし、その当時、真珠湾は米国領ではなかった。米国の植民地だった。日本は米国の固有の領土を攻撃したのではなく、米国が盗んだ土地を攻撃したのだ。要するに、泥棒を攻撃した、別の泥棒だ。悪が正義を攻撃したのではなく、悪が別の悪を攻撃しただけだ。
もちろん、これをもって、日本の真珠湾攻撃を正当化することはできない。しかしながら、この当時、列強はいずれも植民地による侵略をしていた。イギリスも、オランダも、米国も、いずれも侵略をしていた。要するに、泥棒だった。この時代は、泥棒が争っていた時代なのだ。
このときに、泥棒である米国が「正義のおれを攻撃した悪党め!」などといきり立つのは、笑止千万だ。
また、中国や韓国のように「日本は侵略を反省せよ」といきり立つのも、笑止千万だ。
この時代、イギリスも、オランダも、米国も、いずれも侵略をしていた。こういう時代であったという歴史的事実を無視して、「真珠湾攻撃をした日本は卑怯だ」などという主張をするのは、とんでもない歴史的誤認だ。
なるほど、真珠湾攻撃をした日本は、悪だった。しかし、それよりも何倍も悪であったのは、ハワイを植民地化した米国であったのだ。米国が日本の攻撃を受けたのは、米国が他人の領土を盗んだからなのだ。
これが歴史的真実だ。その真実を知るべし。
[ 付記1 ]
仮に、米国に謝罪するとしたら、こう謝罪するべきだっただろう。
「米国が侵略したハワイ王国を、妨害したのは、まことに申し訳ありませんでした。当時、米国はアジア各国を侵略して、白人による黄色人種支配を推進していました。このような米国の人種差別的侵略行為を妨害したのは、まことに申し訳ありませんでした。黄色人種として、白人による侵略と植民地化を妨害したのは、まことに申し訳ありませんでした。深く反省します。黄色人種は、白人に支配されるべきなのでしょう。日本はあくまで、米国の支配を受け入れるべきでした」
こう語ればいい。
[ 付記2 ]
ついでだが、侵略したのは、イギリス、オランダ、米国だけではない。中国に至っては、今もなお侵略している。
→ 中国による侵略 : nando ブログ
こんな中国が「侵略した」と言って日本を非難するのは、笑止千万だ。だいたい、中国は、アヘン戦争のこともあるし、イギリスをこそ非難するべきだろう。
[ 付記3 ]
実は、中国には、日本を非難しないといけない決定的な理由がある。何か?
中国自体は、日本を非難する理由は特にない。しかし、中国共産党には、日本を非難する理由がある。それは、
「日本軍を大陸から駆逐したのは、中国共産党である」
という虚構である。この虚構を構築して、中国共産党に民衆の信認を与えるために、「日本軍は悪魔であった」という虚偽を信じさせる必要があるのだ。
では、真実は?
「日本軍を大陸から駆逐したのは、中国共産党と、(蒋介石の)国民党の双方である」
ということだ。
国民党には優秀な装備があり、正規軍として日本と戦った。共産党(八路軍)には、まともな装備がなく、ゲリラ兵(便衣兵)として、こそこそと隠れて日本軍を攻撃した。
ここで、「共産党は何もしていないで、国民党だけが頑張った」という俗説(都市伝説)もあるが、それは妥当ではない。調べればすぐにわかるが、国民党も共産党(八路軍)も、どちらも戦ったのだ。
ただし、中国共産党としては、その事実委を隠蔽して、「共産党(八路軍)だけが戦った」と思い込ませたい。それによって自己を正当化したい。だからこそ、「日本は悪の権化であった」という虚構を構築したがるのだ。
[ 付記4 ]
結局、米国も中国も、「自分は正義。日本は悪」という虚構を構築したがっている。
そこで、「真実はこうだ」というふうに指摘するのが、本項だ。
【 関連サイト 】
アジアの独立運動に日本の戦争が影響した(欧米からの独立を助けた)という点については、私の見解のかわりに、下記の論拠がある。
→ 世界はどのように大東亜戦争を評価しているか
→ 海外「日本はアジアの英雄だった」 インドネシアの独立に尽力した日本兵たち
→ 第二次大戦後、アジアの国々が独立しましたが,日本が侵略してあげたからですか?
なお、日本が侵攻した土地では、アジア各国はのちに独立したが、日本が侵攻しなかったアフリカでは、そのまま長らく植民地状態が続いていた。そのせいでアフリカはいまだに悲惨な状態である。
アジアとアフリカでこれほどにも大きな差が付いたのは、日本が侵攻したか否か(欧米の植民地としての状態から解放したか否か)ということが、決定的な要因となっている。
タイムスタンプは 下記 ↓
大陸からの撤収は追い出されたのではなく、本土陥落による方針転換です。補給線も絶たれましたし、さらに不可侵条約破棄という踏んだり蹴ったりもあり、弱り目に祟り目ですね。
列強は当時の東南アジア植民地を解放しようなんて露ほどにも考えていないから、戦後に再支配を目論んで帰って来たこと、しかし疲弊していたから各地の独立戦争に対応できなかったこと、そして結果的に各地の独立を促したこと、これらの事実は列強は触れてほしくないところでしょう。
×日ソ不可侵条約
○日ソ中立条約
九カ国条約・四カ国条約・ワシントン軍縮条約からなる「ワシントン体制」は、ヨーロッパにおける「ベルサイユ体制」がドイツ弱体化を狙った世界秩序であるのと同じく、日清・日露・第一次世界大戦で力を持ち始めた日本を弱体化するための米英中心の世界秩序でしょ。九カ国条約は、中国の門戸開放・機会均等・領土保全からなる「門戸開放宣言」が起源で、日本が将来おこないかねない軍事的中国支配を抑止することで、経済的な中国支配を確立するのが目的だった。まあ中国からしたら、軍事的な侵略よりも経済的な支配の方がマイルドだから、アメリカよりになったんだと思う。べつに当時の日本を擁護する気はないが、国際政治に正義はないってことは知っていた方がよいと思う。
アメリカによるハワイ併合、日本による韓国併合、そして琉球処分も、帝国主義の一貫として行われた点に変わりはない。国連が「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を採択したとき、アメリカが反対したのは、ネイティブ・アメリカンの問題もさることながら、ハワイ併合もからんでいたと思う。気安く賛成して、後になって「先住民である沖縄の人々の人権を守れ」と言われて驚嘆している日本は、じつに可愛い。
http://kenjya.org/ajia1.html
本題は歴史認識ではなく、真珠湾での謝罪をするかどうか。それに対して管理人さんが掲げた大いなる皮肉(付記1)。我が国のリーダーがこれを語る度胸があればいいな。と思います。トランプが大統領になった時に、強要されればこれはいいスピーチになるでしょう。