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朴槿恵外交 「日米韓」の重み自覚を

 ワシントンでの米韓首脳会談は、東アジアにおける韓国の立ち位置という問題を改めて考えさせるものだった。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領には、不安定な北朝鮮情勢に対応するために日米韓の連携が重要であることを明確に認識してもらいたい。

     朴大統領とオバマ米大統領は会談で、北朝鮮の核問題が緊急の課題だという考えで一致。朴大統領は会談後の共同記者会見で、日米韓の協調を基盤とする考えを示した。

     オバマ大統領は会見で、日韓関係が改善されることへの期待感を表明した。日本と韓国という主要な同盟国が関係を改善しなければ、米国の伝統的な東アジア政策は機能しなくなるからだ。

     朴大統領と安倍晋三首相の会談は11月1日に予定される日中韓首脳会談に合わせて実現しそうだ。初の顔合わせだが、「慰安婦問題の進展」を重視する姿勢を崩していない朴大統領が安倍首相との間で接点を見いだすのは難しいだろう。

     それでも首脳同士が互いの考えを直接伝えあうことの意味は小さくない。両国間ではここ数年、外交当局間のパイプすら目詰まりを起こしていると言われてきた。約3年半ぶりに開かれる日韓首脳会談が、両国間の意思疎通を再び円滑にする契機となることを期待したい。

     ただ、朴大統領の認識には不安が残る。会見で日米韓の連携を強調したのは、米国の意向を意識してという側面が強いと見られるからだ。朴大統領は訪米中の講演では、日米韓よりも「韓米中3国の協力」を強調していた。これでは日本より中国との協力を重視したいのが本音ではないかという疑心を生みかねない。

     韓国外交についてはそもそも、中国に偏りすぎという「中国傾斜論」が語られてきた。中国の軍事パレードに朴大統領が出席したことで、こうした懸念はさらに強まっている。

     中国との長い歴史的関係や経済における比重の高さ、中国が持つ北朝鮮への影響力−−。韓国の立場から考えれば、中国への接近は自然なことだろう。そのこと自体に問題があるとは言えない。

     だが、その前提はあくまで「中国の平和的な台頭」でなければならない。オバマ大統領は、中国が国際規範に反する行動をしたら「韓国が米国と同じように声を上げる」ことを求めた。南シナ海での海洋進出を念頭に置いていることは自明だ。

     国際秩序の安定に無関心だという印象を与えることは、韓国の国際的評価を低下させてしまう。北朝鮮情勢に対処するために機能してきた日米韓体制にも影響が出てくる。朴大統領には、これらの点を踏まえた外交のかじ取りを求めたい。

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