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 甘利明・前経済再生相をめぐる現金授受問題で、東京地検特捜部は30日までに、あっせん利得処罰法違反などの疑いで告発されていた甘利氏本人から事情を聴いた。その上で甘利氏と元秘書について、不起訴処分とする方向で最終判断するとみられる。関係者への取材で分かった。

 甘利氏や元秘書については2013~14年、千葉県の県道千葉ニュータウン環状線の工事をめぐり、工事を担う都市再生機構(UR)と補償交渉をする千葉県の建設業者「薩摩興業」の元総務担当、一色武氏から現金計600万円を受け取っていたことが判明。弁護士などのグループが、URに口利きする見返りに現金を受け取ったなどとして、甘利氏や元秘書を同法違反などの疑いで地検に告発していた。

 特捜部は4月、URや薩摩興業、一色氏の自宅などを家宅捜索し、元秘書や一色氏らから任意で聴取を続けていた。同法違反容疑で立件するには甘利氏の国会議員としての「権限に基づく影響力の行使」があったことを立証する必要があったが、甘利氏や元秘書が、権限をちらつかせるなど、同法違反に問えるような証拠はなかったと判断した模様だ。