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野球賭博 球団は選手教育徹底を

 クライマックスシリーズや日本シリーズなどを控え、プロ野球界を揺るがす不祥事が発覚した。巨人の福田聡志投手(32)が野球賭博を行っていた。賭けの対象には自身が所属する巨人の試合も含まれていた。愚かで恥ずかしい行為だ。

     巨人からの報告を受け、日本野球機構(NPB)は調査委員会を開き、事実の解明に乗り出した。今のところ八百長(敗退行為)にあたる不正行為は確認されていないが、NPBには徹底調査と、再発防止に向けた厳正な処分を求めたい。

     野球賭博は9月末、川崎市内の練習場に現れた男性が「借金の取り立てにきた」と話したことから発覚した。巨人の発表によると、福田投手は昨年、同僚の投手(24)から男性を紹介され、今年春ごろ野球の試合で賭けをしないかと誘われた。

     最初は断ったが、「軽い気持ちで」(福田投手)、夏の高校野球のほか、プロ野球や大リーグの試合で賭けた。男性からハンディをつけた試合の一覧がメールで送られてきて、どちらが勝つか選んでいた。負けが百数十万円に膨らみ、連絡を絶ったところ取り立てが始まった。

     男性は自称税理士法人勤務というだけで詳しい人物像は不明だ。野球賭博の常習者なのか、暴力団など反社会的勢力とのつながりはないかNPBは調査しなければならない。

     球界の憲法にあたる野球協約は賭博行為を厳しく禁じている。所属球団が直接関与する試合を対象にすれば球界追放を意味する永久失格となる。自身が出場していない試合でも1年間か無期の失格処分となる。

     球界には1969年に発覚した「黒い霧事件」の記憶が根強く残る。西鉄の投手が暴力団の絡んだ野球賭博に関係し、八百長を行っていた。多くの永久失格処分者を生んだ事件を教訓にNPBは野球賭博常習者との交際や不正行為を禁じる規定を野球協約に盛り込んだ。

     各球団は毎年、若手選手を対象にした研修で「野球を対象にした賭け事は野球生命に関わる」などと指導していたが、結果として防げなかった。研修の内容が形式化していなかったか。改めて選手教育を徹底してほしい。

     巨人球団の生みの親として知られる故・正力松太郎氏は「巨人軍は常に紳士たれ」という言葉を残した。「球界の盟主」としてユニホームを脱いでも重い責任を負っていることを自覚せよという意味が込められている。

     野球が国民的なスポーツとして現在の地位を築き上げるまでには長い年月がかかった。だが、信用や信頼を失うのは一瞬だ。全ての野球選手は「紳士たれ」という言葉をかみしめ、行動で示してほしい。

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