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防衛装備庁 国会の監視能力高めよ

 防衛装備庁が、防衛省の外局として約1800人体制で発足した。

     これまで防衛省の内部部局や陸海空自衛隊の関連部門が別々に担当してきた業務を統合し、武器や武器技術の研究開発から購入、輸出窓口役までを一元的に担う。武器の輸出入をどう管理し、防衛産業との癒着をどう防ぐのかが問われる。

     安倍政権は昨年4月、武器輸出を原則として禁じてきた「武器輸出三原則」を撤廃し、一定の要件を満たせば武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。武器輸出の「原則禁止」から「原則解禁」政策への大転換だった。

     新三原則のもと、政府は、すでに他国との防衛装備協力への動きを活発化させている。例えば、豪州とは潜水艦の共同開発が検討されている。装備庁の発足により、政府が、防衛産業による武器の輸出や国際共同開発・生産を支援し、推進する体制が本格的に整う。

     経団連は先月、武器輸出について「国家戦略として推進すべきだ」との提言をまとめた。装備庁の渡辺秀明長官は、就任にあたり、関係省庁に加えて産業界からの支援に触れ、期待に応えていきたいと語った。

     中谷元防衛相は「輸出を大幅に解禁することはない」と語るが、防衛産業の利益を優先し、武器輸出をなし崩し的に拡大してはならない。

     武器輸出を認めるか否かを直接、審査するのは、政府の国家安全保障会議(NSC)だ。

     だが、新三原則では、輸出を認める場合の基準が「平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合」や「我が国の安全保障に資する場合」とあいまいで、拡大解釈が可能だ。政府は、審査の過程について「情報公開を図る」とするが、どこまで透明性が確保されるかわからない。

     日本が輸出した武器が、目的外に使われたり、第三国に再輸出されたりしないようチェックするのも難しい。再輸出などには原則として日本政府が事前に同意する手続きが義務づけられているが、相手国に一定の管理体制があれば例外扱いとなる。

     装備庁は年約2兆円の装備調達の予算を握る。かつて防衛省では談合や汚職など不祥事が相次いだ経緯があり、防衛産業との癒着の防止も大きな課題だ。装備庁の内部に20人規模の監察監査・評価官制度が設けられたが、身内による監査では実効性に限界があるだろう。

     武器の購入をいかに効率化し、輸出を厳格に管理し、業者との癒着を防ぐか。そのためには、国会議員が武器の専門知識や国際情勢についての理解を深めるなど、監視能力を高めることが不可欠だ。国会審議のあり方も工夫すべきだ。

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