前回は、イギリスのウェールズにプリンスオブウェールズを名乗る強力なウェールズ王が登場しますが、ノルマン人のイングランド(エドワード一世)に征服されてしまったプリンスオブウェールズ時代についてお話いたしました。
ウェールズのノルマン時代の概要
今回は、ウェールズがノルマン朝イングランドに支配に不満を持ち、最後の英雄がウェールズ独立奪回のためにイングランドに立ち向かったノルマン時代についてお話いたします。
※時代の区切りや呼び方は筆者が独自に表現しているものです
最後の英雄、プリンスオブウェールズ現る
プリンスオブウェールズのリウェリン・ザ・ラストがイングランド軍に敗れて征服されて以来、ウェールズは暫くの間はイングランドに平定されていたんだ。
しかし、ベストが流行しまたイングランドとフランスとの戦いの戦費を得るために
ウェールズに重税をかけたことから、ウェールズの人々のイングランド支配に対する不満がたまってきたんだ。
まただれか救世主みたいな人物がウェールズに登場するのですか!
そう!ウェールズの支配を取り戻そうと立ち上がったウェールズ貴族がいました。最後のウェールズ人でプリンスオブウェールズを名乗った英雄オウァイン・グリンドゥール (オウァイン・アプ・グリフィズ)だ!
そのプリンスオブウェールズの話、聞かせて下さい!
楽天家の英雄
オウァインは少年時代に父親を亡くし、イングランドの貴族に引き取られて、法律家になるよう英才教育を受けたんだ。オウァインはイングランド王室へ忠誠を誓いリチャード二世に仕え、ウェールズ人でしたがイングランド法廷へも出入りを許されていたんだ。
そんな中、ウェールズの人々はヘンリー四世のウェールズに対する圧政に不満を感じ、オウァインにイングランドに対抗するように懇願したんだ。オウァインはイングランドで恵まれた暮らしをし何の不自由もなく戦いも好まなかったので、オウァインにはイングランドと戦う理由がなく人々の要望を断ったんだ。
ままあ、そうですよね。
また、隣のイングランドのバロンがオウァインの領土を奪い始めオウァインの立場が悪くなって来た時もオウァインは静かに状況をみているだけで動こうとしなかったんだ。
自分の領土が奪われているのにオウァインは楽天家だったんですね~
オウァインは法律家になりたかったので少々土地を奪われても興味なかったかもね。
争いを起こすより仲間と楽しく過ごす方が良かったようだ。
楽天家も牙をむく
しかしウェールズとオウァインの事態はどんどん悪くなっていったんだ。イングランドのウェールズでの非道ぶりに耐えきれず司教たちがイングランド議会に訴えますが無視され、ヘンリー4世からはオウァインは反逆者だとレッテルをはられ討伐例が下ったんだ。
今度はオウァイン、動いたのですか?
さすがに、オウァインも堪忍袋の緒が切れた様だ。オウァインは自らプリンスオブウェールズを名乗り反乱を起こしたんだ。
かっこいいいオウァイン!プリンスオブウェールズ!僕も名乗ってみたいな~
オウァインは持ち前の優しく温かな魅力を発揮してイングランド王に不満を持つ諸侯を仲間に取り込み、フランス王の協力まで得ることができたんだ。
これ、ひょっとしてウェールズ大逆転ですか??
ん~残念。一時はほぼウェールズ全域を掌握したんだけど、フランス軍が事情により本国に帰ってしまい、もうあと一歩というところでイングランド打倒計画は流れてしまったんだ。
これによりイングランド側も軍を立て直してウェールズ軍を崩し始め、イングランド軍に大敗北した後は反乱の勢いは徐々に衰え始め、最後のプリンスオブウェールズ、オウァイン・グリンドゥールの反乱は自然消滅していったんだ。
もうこれで完全にウェールズはイングランドに征服されたんですね・・・
最後のプリンスオブウェールズの纏め
この後、ウェールズはイングランドに支配され、ウェールズの支配を取り戻そうと戦いを挑むことはありませんでした。しかし、イングランド王室の権力争いである「ばら戦争」の最後の戦いとなったボースワース野の戦いが1458年に起きます。
ウェールズ王室の血を引き継ぐヘンリー・テューダーは赤薔薇のランカスター軍を率い、白薔薇のヨーク軍のリチャード三世を破り、ヘンリー7世としてイングランド王となりました。こうしてウェールズ王室の血はイングランド王室に受け継がれることになったのです。
チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠> DVD-BOX1
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2011/09/02
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
薔薇戦争―シェイクスピア・『ヘンリ六世』『リチャード三世』に拠る
- 作者: ジョンバートン,ピーターホール,John Barton,Peter Hall,木下順二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/04
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (1件) を見る