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・支配者の目的は従順な命令に従う人間を育てること

   「この子は病気でもなんでもないわよ。っていうか、だいたいね、発達障害なんていう病気なんてないの。だって子どもなんて動いて当たり前でしょ? じっとしてるほうがおかしいと思わない? そして興味のないことをしないのも当たり前。こんなの子どもとしては当たり前の状態よね。それを何でもかんでも異常だとして病名をつけるのは、大人たちの怠慢よ。

   大人の言うことを聞かない子が悪い子で、挙句の果てに病名をつけて病気だとしてしまうのは、結局大人たちに指導する力がないからよ。楽しくないから話を聞かないんでしょ? 子どもは楽しいことが大好きだから、楽しい話なら何時間でもじっとして聞いてるわ。それを子どもたちが喜んで聞く工夫もしないで、じっとしていられない子どもが悪いって、何それ」 (略)

――でも、他のお子さんはそれが出来るんです。息子だけできないんです。

   「だからこの子は、エネルギーがとても強いから我慢できないだけ」

――我慢できない子はだめじゃないですか? 社会生活ができないってことですから、生きていけないんじゃないですか?

   「どうして我慢しなければいけないの? どうして我慢できる子が良い子なの?」 

――人に合わせることが出来なければ社会生活が出来ないですよ。
   指示されるのがイヤだからって、好き勝手なことばかりしていたら仕事もできないし、普通の社会生活は無理ですよね。


   「普通の社会生活ってどんなの? 毎日同じ時間に会社へ行って指示された仕事をこなして、したくないことも我慢してやって、平凡にみんなと同じことをして生きていくことが普通の生活なの?」

――まあ、そうです。ちゃんとした会社に入って仕事して、そして結婚して生きていくのが幸せだと思います。みんなそうしています。みんなそれを普通にしてるんです。でも息子にはそれが出来ない。もう、息子にはその生活は無理なんです。高校にも行ってなくて学歴は中卒だし、人とうまくコミュニケーションを取ることもできないし、あげくに暴力まで振るいはじめたら終わりです。あとは犯罪者の道を転げ落ちていくんじゃないかと・・・。

   「何バカなこと言ってんの? 親のあなたが息子を信頼しなくてどうするの? あなたがそんなこと考えてるから、息子にそれが伝わって息子が荒れるのよ。わかる? 子どもは理解してほしいて思ってるの。一番近くにいる親が、自分の子どもを理解しようとしないでどうするの。

   どうしてこの子が暴力を振るうか考えたことある? 分かってもらえないからよ。小さなときから、周囲からダメだダメだって言われ続けてごらん。あげくに病気扱いされてごらんよ。あなたならどう? 優しい気持ちでニコニコしていられる?」(略)

――それは無理です。じゃあ、私はどうしたらいいんですか? 
  もうここまでこじれてしまったら何もできないじゃないですか? 私は何とか普通の子になってほしいとそればかり考えていました。


   「その考えを手放して。あなたは何だか同じような人生を歩んでいる人ばかりに焦点を当てて、それが普通の成功した人生のように思っているみたいだけど、そうじゃないでしょ? たとえ同じような人生に見えても、実際はそれぞれ違う人生なのよ。世間でいう、これが幸せな人生っていうモデルケースが正解なわけじゃないの。

   ちゃんと学校出て、ちゃんとした会社に入って、ちゃんとした結婚して、ちゃんと子ども産んで育てて、ちゃんと年取って、ちゃんと家族に看取られて病院で死ぬの? それがちゃんとした人生? その考え方を手放さない限り、あなたの子どもは理解できないでしょうね。少なくとも、彼の望んでいることは、あなたが思っているちゃんとした人生はではない。

   いい? 価値観が違うの。あなたの子どもは人生に対して、あなたとは違う価値観を持っている。ただそれだけなの。子どもが生きたいように生きる人生が、子どもにとってのちゃんとした人生なの。それをあなたが、あなたが思うちゃんとした人生を歩ませようと無理強いするから反抗するのよ。わかるでしょ?

   そう、例えて言えば、この子はクジラくらい大きなエネルギーなの。
   それをあなたたち親は、一生懸命小さな水槽にクジラを入れようとしてるって感じね。そんなもの入るわけないでしょ。そりゃ、苦しいから暴れるのは当然。この子に世間的な常識とか押し付けようとしても無理。自分の考えをしっかり持っているから、イヤなことはイヤ。絶対にしない。それがこの子の個性。

   この子は自分が納得できることなら、どんなにしんどくても出来る子なんだから、クジラは海に放流してあげなさい。あなたたちに出来るのは、いちいち口出ししたり、世間の常識を教えようとしたりせず、その子に好きにさせておくことよ。だから学歴だなんてつまらないことで、息子をダメだなんて思う必要はないの。あなたたちの子どもを信じなさいって。

   私たちの息子は世間の物差しでは計れないほど大きいんだって、誇りに思っていればいい。彼も、普通にならなきゃ、親に迷惑かけてるって、彼なりに悩んで自分を呪縛している。あなた方親の考え方や息子の見方が変われば彼も変わる。大丈夫。あなたの息子は発達障害でも、病気でも、ダメな子でもなんでもない。彼はとても頭のいい子よ。

学校の目的は従順に命令に従う人間を育てること

   頭がいい子なのと学校の勉強ができる子というのは別よ。
   学校でいい子と言われるのは、大人にとって都合のいい子だってこと。先生や親たちの言うことを何も反論することなく、従順に従える子をいい子っていうの。

   あなた方の学校教育は、真の知識を教えるところじゃないの。一応教えてるみたいだけど、本当のことは何も教えてはいないわ。ただ、支配者が許可した、自分たちにとって都合のいいことだけを教えているだけ。だから全部、歪められた知識なの。そんなところでいくら学んでも知恵はつかないし、真実はわからない。

   ならば、学校って何?
   学校は、従順に命令に従う子を育てるのが目的なの。右向け右って言ったら、もういいよと言われるまで、何も考えずに右を向いている、ただ命令に従う子を育てるのが一番の目的だってこと。つまり、権力者に向かって反抗したりする子はいらないの。何かがおかしい、と考えるような子はいらないの。ただ、権力者を怖がり、崇め、従順に従う子だけを育てたいの。鋳型にはめ、同じ形の物を造り続ける工場なの。だから鋳型にはまらない子は不良品として排除されるのよ。

   学校におけるすべてのシステムが、型にはめることに集約されてるわね。
   みんなで同じ時間に同じことをさせるのもそう。体育の時間に、みんな同じ早さで同じ歩き方を練習させるのもそう。同じ時間に同じ教化を勉強するのもそうだし、同じ時間にご飯を食べるのもそう。すべてにおいてみんなと同じ行動をさせる。それにはみ出たり、ちょっと違うことをするとすごく叱られる。みんなと同じことをするのが良いことで、違うことをするのは悪いことだと刷り込む。だから、みんなで一斉に何かをすることに抵抗感がなくなるのよ。

   これは大人になったとき、働かせやすくするため。
   号令一つで人々が動けば、少ない人数で管理しやすくなるからね。始業時間は何時で、お昼の休憩は何時って決めるだけで、小さな頃からの習慣で、何も疑問を持たずにその通りに動くでしょ。

   そして、先生の言うことは絶対に正しいと教え込む。
   先生の言うことに背くと、罰を受けると思い込ませる。先生の言うことを聞いて従順に従うと褒められるけど、口答えすると罰を受けるということが分かると、子どもたちは考えなくなるの。つまり、考えることを放棄するから、とてもコントロールしやすくなる。そして大人になったとき、何も考えずに権力者たちの言うことを素直に聞くようになる。

   テストばかりを繰り返すのもそうね。
   テストって、先生の求める答えを書くことよね。自分はこう思うって書いても、それが先生の答えと違ったら、それは×になって点数はもらえない。点数が悪ければ頭が悪いと言われたり、行きたい学校に行けなくなったりして、イヤな思いをすることになる。だから自分の考えよりも先生の答えを優先するようになる。先生の言うことが正解だと思い込んでしまう。

   これは大人になったときに、権力者の言うことが正解だと思うようにするため。つまり、権力者や権威を持った人の言葉が一番信じられると思い込ませれば、民衆を扇動するのはとても楽に出来るからね。

   そしてテストなどの競争を沢山させることで、自分をダメな人間だと思いこませることが出来る。つまり、セルフイメージがすごく低くなってしまうの。なぜならすべての競争に勝てる人はいないから、必ずどこかで負ける。負けるということは、自分は人より劣っていると思い込むことよ。セルフイメージが低くなると、自分に自信がなくなる。自信がないと自立が難しい。自立できないということは、誰かに依存することになる。

   自分で何も決めることができなくなるということは、誰かに決めてもらいたいと依存することになる。誰かに自分のことを決めてもらうということは、自分の自由と権利をその人に渡してしまうってこと。

支配者の目的は少人数で大人数をコントロールすること

   競争ばかりさせられていると、人を見る時、自分の中で勝った負けたという判断が優先するようになる。勝ったが多い人は人を見下すようになり、負けたが多い人は、ひねくれていく。どちらにしても、いつも誰かと密かに競争しているから、人を心から信用できなくなる。いつもどこかで人を疑うようになる。そうなると団結できなくなるでしょ?

   少人数で大人数をコントロールしていると、大人数で団結されて反抗されるのが一番困ることなの。だから、人々をいつも疑心暗鬼にさせておくのが一番なのよ。

   わかる? いかに少ない人数で大人数をコントロールするか、それが学校教育の目的なの。学校教育で小さいころから洗脳しておけば、簡単にそれが出来るからね。だから義務教育だといって親から離し、ひとつのシステムで子どもを教育するの。

   これがわかると、学校への考え方が変わってくると思う。
   学校へ行きたくないって言う子どもを、無理やり行かせる必要はないってわかるでしょ? そしてね、今の子どもたちは感覚的に、学校がどういうところかわかっているの。だから本能的に行きたがらないの。最近、登校拒否が多いのは、そういう子がとても増えているからなのよ。

   学校へ行かなくても、勉強することはできるわ。
   興味のあることは、強制されなくても勝手に勉強し始めるし、それを勉強だとか思うことなく、知識を得ることを楽しむことができる。子どもたちは自分の興味のあることなら本当に夢中になって勉強するわ。だから、スペシャリストになるのよ。得意なことをどんどん伸ばすことができるからね。

   江戸時代には学校教育なんてなかったけど、教育水準はとても高かった。
   ほとんどの人が読み書きそろばんは出来た。そしてそれぞれの分野にスペシャリストがいたの。釘一つ使わずに、素晴らしい建物をつくる技術もあった。素晴らしい文化を、今の学校システムなんてなくても確立できていたわ。

   それは寺子屋という文化があったからだけど、本当に基礎的なことは寺子屋で教え、あとは子どもが好きなことを選んで、それを得意とする大人に実地で習っていくの。子どもにとって興味のあることで、大人はそれのスペシャリストとしての誇りを持っているから、とても素晴らしい教育ができた。

   話がそれたけど、だから学校に行かないから何もできない、なんてことはないの。子どもが興味のあるものを見つけるまで放っておけばいい。興味のないことを無理強いしようとするから、子どもは反抗するの。子どもが本来持っている力を信じて、ただ見守ってあげるだけでいいの。形にはめることだけが教育じゃないのよ。のびのびとその子が生きていけるように、環境を整えてあげることが教育なの。

   偏差値の高い学校に入れるのが教育じゃない。
   自分に自信を持って誇り高く、っていってもそれはプライドのことじゃないからね、そのように生きて行けるように見守ってあげるのが教育なの。だけどあなた方の社会は、まるで反対のことをしてるよね。子どもたちがどんどん追い詰められて、悲鳴を上げている今の現状をよく見てちょうだい。

   学校に行きたくないって、はっきり言える子は、とても勇気のある素晴らしい個性だということ。それは落ちこぼれでも、病気でも、協調性が足りないのでも、わがままなのでも、我慢が足りないのでもない。子どもは学校がどういうところか知っているから行きたくないの。

   親はそれを理解してあげてね。
   たとえ子どもの価値観が理解できなくても、理解しようとする姿勢は持ってね。そして口を出さず、ただ見守ってあげていれば、子どもは親を信頼し、何でも話をしてくれるようになる。子どもと親は、それぞれ別の人格だということを忘れないでね。子どもを、親の言いなりにコントロールしようとすればするほど、子どもは反抗するってことよ。
                                              さくや


    book『他人の引き寄せ体験ほど役に立つものはない。』
           ミナミAアシュタール著 リンダパブリッシャーズの本


                          抜粋
   

 

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