首相「再延期」へ調整 同日選、自民に賛否
野党4党は「31日に内閣不信任決議案提出」方針確認へ
安倍晋三首相は30日午前、首相官邸で自民党幹部と相次いで個別に会談し、来年4月の消費税率10%への引き上げを2019年10月に2年半、再延期する方針に理解を求めた。首相は増税再延期に合わせて衆院を解散し、衆参同日選を実施する是非についても意見を聞いたが、自民党幹部の意見は割れた。首相は同日午後、公明党の山口那津男代表とも会談し、増税再延期について政府・与党内の意見集約を図りたい考えだ。【高本耕太】
首相は自民党幹部との会談で、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で「世界経済が直面する危機」に対し、各国が政策を総動員する必要性で一致したことを説明。そのうえで、個人消費の落ち込みの誘因となる消費増税を延期する考えを伝え、理解を求めた。
これに対し、自民党の高村正彦副総裁は「景気や消費が冷え込むことがないように財政支出を行い、消費税は予定通り上げることが望ましい」と述べた。
二階俊博総務会長は「首相を全面的に支持する」と伝えた。その後、記者団に対し2年半の延長期間について「広く取っておけば、景気が上向くこともある」と指摘した。一方、財政再建派の稲田朋美政調会長は「来年、増税しないのではなく1%でも増税する」よう提案した。
会談では、麻生太郎副総理兼財務相と自民党の谷垣禎一幹事長が、増税を延期する場合は衆院を解散し、夏の参院選と同時に衆院選を行う衆参同日選を実施すべきだと主張していることに関連し、同日選についても意見が交わされた。
高村氏は首相に「衆院解散までは求めない」と伝えた。二階氏も記者団に「同日選はしない方がいいと言ってある。首相の考えもそのようだと受け止めている」との見方を示した。
これに対し稲田氏は、14年11月に首相が増税延期の信を問うために衆院解散に踏み切ったことを踏まえ、
「延期するのであれば(来年4月に増税するとした)前回選挙との整合性で、国民の信を問うべきだ」と衆院解散を主張した。
首相は与党内の調整が付けば、国会会期末の6月1日に行う予定の記者会見で、増税延期の方針を正式発表し、2日の閣議で増税延期を盛り込んだ経済財政運営の指針(骨太の方針)を決定したい意向だ。
一方、民進、共産、社民、生活の野党4党は30日午後に党首会談を開き、31日に内閣不信任決議案を提出する方針を確認する。会期末を前に与野党の攻防も激しさを増している。