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日本刀トラブル、9都府県で波紋 すり替えや高額修理、ずさん研ぎ

福井新聞ONLINE 5月29日(日)8時26分配信

 修理を依頼された日本刀を返却しなかったとして、業務上横領の疑いで業者の男が逮捕された事件で、この男が同様の手口のほか、委託販売名目で預かった日本刀を返さなかったり、偽物を販売したりしたとされるトラブルが、少なくとも9都府県の刀剣愛好家との間であったことが28日、関係者への取材で分かった。男の逮捕以降、福井県警福井警察署の捜査本部に新たな相談が寄せられており、波紋が広がっている。

 この男は、福井警察署と福井県警捜査2課が18日、業務上横領の疑いで逮捕した福井市、刀剣類販売・修理会社「勝山剣光堂」の代表取締役、勝山智充容疑者(47)。

 関係者によると、勝山容疑者は1996年ごろからインターネットでの販売を開始。遅くとも98年ごろからトラブルが起こり始めたとみられる。

 トラブルがあったのは福井県内をはじめ、東京、大阪、宮城、神奈川、富山、石川、高知、福岡の少なくとも9都府県の愛好家ら。この一部は購入品に対する苦情や、修理などで預けた日本刀が返却されないといった相談を、各地の警察や消費生活センター、弁護士などに申し出ているもようだ。

 福井県内では、大野市内の男性(故人)が100万円を超える日本刀を購入したが偽物と分かり、話し合いをしたが解決できなかったという。福井市内の男性は、鑑定名目で2007年8月に男性の親族(故人)が預けた刀の返還を求める民事訴訟を、15年4月に福井地裁に起こしている。

 つばなど金具類がすり替えられたと訴える人も複数いる。ずさんな研ぎに対して高額な修理代を要求され、要求通り支払って返却を受けたケースもあり、関係者の一人は「泣き寝入りしている人も少なくないのではないか」と指摘している。

 今回の逮捕は、被害者が13年、刀の返却を求め提訴。昨年7月に福岡地裁が返却を命じた。同年9月に地裁が刀を差し押さえたが模造刀だったため、同年12月、福井警察署に被害申告したことが端緒となった。

 同署によると、同容疑者が修理の依頼を受けて一時、刀を預かり、その後トラブルに発展させて法外な迷惑料やキャンセル料を請求し、支払わなければ刀を返却しないなどといった相談が約30件あり、事件発覚以降、新たな相談が寄せられているという。

福井新聞社

最終更新:5月29日(日)8時26分

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