GoogleのJava API使用は「フェアユース」。Oracleとの裁判にひとまず勝利
GoogleとOracleの著作権闘争、Googleが優勢に。
Oracleは、著作権ライセンス料を支払わずにJava APIパッケージを利用してAndroidを開発しているとしてGoogleを訴えていましたが、米連邦裁判所はAPIの使用は「フェアユース」に相当すると判断しました。Googleはこの訴訟に対して、Oracleから90億ドル相当(約1兆円弱)の賠償金の支払いを求められていました。
今のところ、コーダーがソフトウェアを構築する方法の基本的な原則はこれまでと変わらずに済みそうです。Oracleが上訴して勝利しない限りは。
これまでの経緯を少しおさらいしてみましょう。
この争いはGoogleが、Javaの「API」を、Androidの初期バージョンのオペレーティングシステムに使用したときから始まります。API(アプリケーションプログラミングインターフェイス)は、ソフトウェアの機能などを、簡単に外部のプログラムから呼び出して利用するための手続きを定めたコード規格のこと。例えば、パソコンのスタートメニューを開いて、iTunesのアイコンをクリックするとしましょう。APIとは、iTunesのプログラムを起動するコードの実行のために呼び出されるコードの要素です。
Oracleは、彼らの所有するJavaプログラミング言語の著作権を侵害したとして、2010年に初めてGoogleを提訴しました(OracleはJavaを生んだSun Microsystemsをこの年のはじめに74億ドルで買収しています)。そして2012年に判決が下り、カルフォルニア州の判事は「APIは著作権の対象にするべきではない」とOracleの訴えを退けます。
Googleが勝利したと思いきや、Oracleはこの判決を控訴。2014年、連邦巡回裁判所はAPIは著作権の保護対象であるとし、なんとカリフォルニア州の判事の判決を覆します。その後Googleは、Java APIの著作権が認められることを前提として、AndroidでのJava APIの使用は「フェアユース」であり、著作権制限を受けるため権利を侵害しないと主張していました。そして今回の判決で、Java APIの使用が「フェアユース」に相当すると米連邦裁判所の陪審員団に認めさせたのです。
この判決が異なる結果になっていれば、ソフトウェア開発者の「パンドラの箱」を開けることになっていたところです。何が起こるかは未知数にせよ、至る所で普通にAPIを使って書かれている今のコード業界の原則に大きな影響を与えることは間違いありませんでした。
今のところ、Java関連を使用するプログラマーや人々は安心して過ごせます。しかしながら、アメリカの裁判制度のせいで、Oracleはまだ控訴する余地があるわけで、この争いはまだ終結には至っていません。いい流れにはなっていますけど。
William Turton - Gizmodo US[原文]
(mayumine)
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