台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入るシャープは、6月23日に大阪市内で株主総会を開き、取締役の人事案を諮る。鴻海グループの戴正呉副総裁が社長に就き、取締役は4人減らして9人にする内容で、シャープ色は薄まり鴻海支配が鮮明になる。一方で日本の電機業界出身者も起用。求心力維持のため「外資による買収」の印象を薄める狙いがうかがえるバランス人事だ。
「鴻海の徳川家康」。シャープ社長に就く戴氏を、一部の台湾メディアはこう表現する。
戴氏は、交渉や調整能力にたけ日本語が堪能。ソニーとの取引をまとめるなど日系企業との窓口として実績を重ね、2004年にグループ副総裁に就任した。4年がかりのシャープ買収を実現させた立役者でもあり、鴻海の郭台銘会長が寄せる信頼は厚いという。
戴氏を知る複数の関係者は「郭会長の指示を忠実に守る実行役」と口をそろえる。鴻海社内では郭会長の指示を達成するため「冷徹で厳しい」幹部として知られ、シャープ社長就任後も「決定権は郭会長が握る」とみる向きは多い。
鴻海からシャープの取締役に送り込まれるのは、戴氏を含め4人。6月末をめどとする鴻海からシャープへの出資完了後に就任する予定だ。一方、シャープ出身者は4人就任するが、出資完了後は高橋興三社長が退任し、3人となる。
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