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就活生が激怒する「サイレントお祈り」の実態

東洋経済オンライン 5月30日(月)6時0分配信

 経団連が定める新卒採用の選考解禁日6月1日が目前に迫ってきた。しかし、大半の企業がすでに書類選考や面接を行っているのが実態だ。当然、選考の合否連絡を学生たちは続々と受け取っているはずなのだが、不合格の結果を明確に伝えない企業が少なくない。いわゆる「サイレントお祈り」である。

■ 不合格なら連絡しない「サイレントお祈り」

 採用選考の不合格通知の際、「選考の結果、残念ながら不合格となりました。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます」という企業からのメール文面が多かったことから、いつの頃からか、不合格通知メールを「お祈りメール」と呼ぶようになった。それが転じ、企業から「連絡がない場合はご縁がなかった(筆者注:つまり不合格のこと)ということでご了解ください」と選考の際に伝えられ、通知の無い(=サイレント)まま、いつの間にか不合格になってしまう状態を「サイレントお祈り」と呼ぶようになった。

 採用、人事関連の調査研究機関であるHR総研が2017年度新卒採用について企業側に調査をしたところ、「サイレントお祈り」について、驚くべき数字が明らかになった。

 企業にエントリーシートなどの書類選考の結果を全員に伝えるか、合格者のみに伝えるかどうかを聞いたところ、合格者のみに伝えると答えたのは全体の22%だった。これが従業員規模1001名以上の大企業に限ると、38%に跳ね上がる。おそらく従業員1万人以上の規模になると、この数字はさらに高くなると思われる。

 面接の合否結果についても同様の質問をしたところ、合格者のみに伝えると答えたのは全体の13%だった(こちらの方は企業規模に関係なくほぼ同じ割合)。せっかく面接まで受けてくれたのだから、不合格の通知は全企業で行うようになってほしいものだが、そうした対応をしない企業は少なからずあるということだ。

 こうした企業を受けた学生は、合格通知が来るかこないのか、わからない状態で待つしかない。理由については後述するが、明確に連絡期限が設けられていない企業も少なくない。そのため学生としては気持ちを切り替えて次の企業にアタックすることができない状態に置かれてしまう。

■ 「企業としてあまりにもひどい対応!」

 HR総研が昨年就職活動をした学生(2016年卒生)を対象にした調査では、企業に対する不満、改善してほしいというコメントで圧倒的に多かったのが、この「サイレントお祈り」に関するものだった。その不満の声をいくつか紹介しよう――。

 「選考の結果を連絡しない企業があるが、学生側は『いつまで待てばいいのか』分からず困るため、結果は必ず通知するようにしてほしい」(国立大、文系)

 「サイレントお祈りをやめてほしい。企業側が大変なことは承知しているが、私たちもその会社のエントリーシート、特に手書きの場合は少なくとも3時間以上かけて書いている。また、そのエントリーシートを書くまでに、企業研究やセミナーに複数回参加している場合もある。あまりにも失礼ではないのか」(私大、文系)

 「合否に関わらず必ず連絡してほしい。テンプレートでの不合格でもないよりはまし。連絡もいただけない企業の商品は今後積極的に利用しようとは思わない」(私大、理系)

 「不合格だった場合に連絡をしない企業があまりにも多い。社会人として、企業としてあまりにもひどい対応だと思う」(国立大、文系)

 「落選の場合、連絡なし、という対応。一本メールを打つだけなんだから(それも一括送信)そのくらいやれよと思う」(私大、文系)

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最終更新:5月30日(月)6時0分

東洋経済オンライン

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