中央教育審議会(会長・北山禎介三井住友銀行会長)は30日、実践的な職業教育を行う新しい高等教育機関として「専門職業大学」(仮称)を制度化するよう馳浩文部科学相に答申した。企業での長期間の実習などを義務付け、観光やIT(情報技術)、農業など成長分野で即戦力となる人材を養成する。2019年度の開設を目指す。
大学の新しい類型が設けられるのは1964年の短期大学の創設以来で、約半世紀ぶり。文部科学省は17年の通常国会で必要な法改正を目指す。教員数や卒業単位数を定める設置基準をつくり、同年秋ごろに申請を呼びかける方針。
専門学校からの転換や既存大学の学部・学科の改組が想定される。すでに辻調理師専門学校を運営する学校法人辻料理学館(大阪市)などが開設の意向を示している。
答申によると、専門職業大が育成するのは「専門業務を担える実践的な能力とともに、伸びしろを身につけた人材」。定型的な仕事だけでなく新たなアイデアの創出、販路開拓なども担える人材を育てる。
このため、企業と連携した教育を重視。卒業単位の3~4割は実習や演習とし、学生は企業内実習を2年間で300時間以上履修する。教員の構成は、企業などで5年以上の実務経験を持つ者をおおむね4割以上とすることを義務付ける。
社会人ら多様な学生を積極的に受け入れることを努力義務とし、大学相当の4年制と短大相当の2、3年制を設けて「学士」や「短期大学士」の学位を授与する。